2009年2月23日月曜日

「オンワード」イエス

 原題「Onward」

 ■「Tormato」(「トーマト」)収録




  
 私がすることすべてに愛がある あなたへの愛が
 私が書くものすべてに 語られているのは
 あながた光だということ
 燃えるように明るく輝いている光

 真っすぐ先へ 夜の闇を照らして
 真っすぐ先へ 夜の闇照らして
 真っすぐ先へ 私の人生の夜の闇を照らし続けて

 私が見るものすべてに愛がある あなたが示してくれる愛が
 あながた語ることすべてに 表現されている
 あなたが道を案内してくれる日の光

 真っすぐ先へ 夜の闇を照らして
 真っすぐ先へ 夜の闇照らして
 真っすぐ先へ 私の人生の夜の闇を照らし続けて

   Contained in everything I do
 There's a love I feel for you
 Proclaimed in everything I write
 You're the light, burning brightly
 
 Onward through the night
 Onward through the night
 Onward through the night of my life
 
 Displayed in all the things I see
 There's a love you show to me
 Portrayed in all the things you say
 You're the day leading the way
 
 Onward through the night
 Onward through the night
 Onward through the night of my life
 
 Onward through the night
 Onward through the night
 Onward through the night of my life
 
 
【解説】
英国のロックグループYesの「危機」(1972)は、おそらく中学生だった時に始めて買った洋楽グループのLPだった。当時のLPで片面20分近くを使って組曲一曲なんて構成で、聞くものを別世界へ誘ってくれた。

そんなYesが大作主義からコンパクトな曲に方向転換したことで、あまり評価は高くないアルバムに「Tormato」(1978)というのがある。「クジラに愛を(Don't Kill The Whale)」という、およそそれまでのYesには考えられなかった、反捕鯨のメッセージソングが含まれているのも、評価を下げている理由かもしれない(右写真は「クジラに愛を」のシングルレコード)。

音的にも厚みがなくなり、アンサンブルの緊張感も伝わってこないこのアルバムには、当時正直なところかなり失望し、わたしもムキになって「Yesは終わってしまった」みたいに落ち込んだ。

しかしそれまでのYesにこだわらずに、これはこ
れで、ポップでちょっとヒネリのあるアルバムとして聴いてみると、意外と気軽に楽しめる作品だとわかり、最近よく聴くようになった。中でも何と言っても「オンワード」が素晴らしい。


ジョン・アンダーソンの美しい高音のボーカル、静かに後ろで鳴っているスティーブ・ハウのギターのスタッカート気味のアルペジオ。途中から入るストリングス。力強いボーカルハーモニー。やさしいやさしい気持ちになる。

前作「究極(Going For The One」にも、ジョンの歌うゆったりした静かな曲が含まれていたが、この「オンワード」はその路線の到達点だろう。シンプルな楽器構成、
ストレートな愛情表現の歌詞による、とても印象深い曲である。そこで歌われているのは宗教的な愛に近いと言ってもいいくらいだ。曲はベースのクリス・スクワイア作。彼はこう振り返る。
「最初僕がピアノで弾いてみんなに歌って聴かせて、そこからアレンジが出来上がったんだ。」

ギターのスティーブ・ハウはこう言っている。

「『オンワード』はいい楽曲だ、いい曲だよ。」
(「イエス・ストーリー」シンコー・ミュージック、1998年)

4 件のコメント:

  1. こんにちは、私もこの曲が大好きです。トーマトは、
    もしイエス以外のバンドの作品なら絶賛されたのでは
    ないでしょうか。ちなみに、オリヴァー・ウェイクマン
    は、イエスのアルバムでトーマトが一番好きだそうで、
    それを言うと「変わっている」と言われるそうですw

    この曲は当時の妻だったニッキに捧げたといわれますが、
    ニッキはクリスのミューズだったから、離婚してから
    クリスはもうこういう曲を作らなくなったんでしょうか。
    クラシカルで美しい曲ですよね。

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    1. コメントありがとうございます。
      リアルタイムで聴いて行くと、期待に反して残念感が強くなってしまったんでそうけど、横並びに置いて聴くと評価が違ってくるんじゃないでしょうか。
      もしかするとタイトルやジャケットがファンタジックなものであったら、Yes流ポップな小品集としてもう少し高い評価を得られたかもしれませんね。
      そして「オンワード」は永遠の名曲です。

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  2. こんばんは、昨日書き込んだ者ですが、オリヴァーは
    こう言っています。彼もオンワードを演奏しましたね。
    貴サイトの訳詞、今後も楽しみにしています。

    「and it was quite interesting when I read
    a lot about people who didn't really take
    to TORMATO and had problems with it, and
    for me it was always one of my favorite
    albums, primarily because it was one of the ones that got me interested in Yes-not just because my dad was in it, but because I genuinely liked it.」

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    1. 楽しい文章をご紹介いただいて、ありがとうございます。
      本筋とは違いますが…
      コメント一つするにも常に父の存在を気にしなければならないというのは、オリヴァー君も大変なんだろうなぁと思ってしまいます。スティーヴ・ハウの子どもたちと違って、同じキーボード・プレイヤーという宿命でしょうね。
      今後ともよろしくお願いします。

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