2009年2月7日土曜日

「ラウンドアバウト」イエス

原題:「ROUNDABOUT」

■「こわれもの」(Fragile)収録





私は ラウンドアバウトになろう
言葉をかわすことで 君は完全な存在になっていくだろう
君は自分の思うように日々を変えていく
それを 音の中を 峡谷を走り抜ける朝のドライブと呼ぼう

音楽は踊り歌う
そして子供たちは実際に輪を作る
私は君のように日々を過ごす
それを 音の中を 峡谷を走り抜ける朝のドライブと呼ぼう

湖の中、その周囲で
山々が空から顔を出す 山々はそこに存在しているのだ
あと1マイルで私たちは向こうに着く そして君に会える
本来の夏を10回、私たちはそこで過ごし 笑いもしよう。
君に会えるまであと24時間 そしたら君もわかるだろう一緒だって

君のことを思い出す
君のシルエットが 景色を遠くにいる君の雰囲気で満たす
それを 音の中を 未だ峡谷を走り抜ける朝のドライブと呼ぼう

空に浮かぶ雲沿いに 鷲が地上の獲物を探す
渦巻く風をつかまえて 水夫である鷲は大地の果てを見る
天候が急に荒れ、鷲達の踊るように羽ばたく翼が騒ぎ立てる
降下して大地を掴むが 一部は砂の粒に過ぎないと感じる
私たちは手の中にある千もの答えを 常にどこかへ失ってしまいそうだ
でも君がより深い恐れを抱いたとしても 
私たちは無限の年月に囲まれている


 I'll be the roundabout
 The words will make you out 'n' out
 I spend the day away
 Call it morning driving through the sound and in and out the valley

 The music dance and sing
 They make the children really ring
 Spend the day away
 Call it morning driving through the sound and in and out the valley

 In and around the lake
 Mountains come out of the sky and they stand there
 One mile over we'll be there and we'll see you
 Ten true summers we'll be there and laughing too
 Twenty four before my love you'll see I'll be there with you

 I will remember you
 Your silhouette will charge the view
 Of distance atmosphere
 Call it morning driving through the sound and even in the valley

 In and around the lake
 Mountains come out of the sky and they stand there
 One mile over we'll be there and we'll see you
 Ten true summers we'll be there and laughing too
 Twenty four before my love you'll see I'll be there with you

 Along the drifting cloud, the eagle searching down on the land
 Catching the swirling wind, the sailor sees the rim of the land
 The eagle's dancing wings create as weather spins out of hand

 Go closer, hold the land, feel partly no more than grains of sand
 We stand to lose all time, a thousand answers by in our hand
 Next to your deeper fears, we stand surrounded by million years


【メモ】
イギリスを代表するプログレッシヴ・ロックグループYesの、Yes的サウンドを完成させた永遠にYesを代表する一曲。ピアノの逆回転音から始まりスティーブ・ハウ(Steve Howe)のアコースティックギターのつま弾き。すでに聴き入ってしまう印象的なイントロだ。そしてビル・ブラッフォード(Bill Bruford)のスネアの軽い音とクリス・スクワイア(Chris Squire)のグイグイと唸るベースが曲を気持ち良く走らせ、ジョン・アンダーソン(Jon Anderson)の個性的なハイトーンボーカルが歌い出す。合間に入るリック・ウェイクマンのキーボードも印象的だ。

この5人の個性的 なプレーヤが、8分半の中にそれぞれの魅力を詰め込んだのがこの「ラウンドアバウト」である。ところがそのタイトルである“roundabout”がよくわからない。ジョン・アンダーソンによると、この曲はバンドメンバーがバンに乗ってグラスゴーへの移動中に見た光景が歌に盛り込まれていると言う(「イエ ス・ストーリー」(ティム・モーズ著、川原真理子訳、シンコーミュージック、1998年)。湖はネス湖。一ヶ月に渡るツアーが終わって、ロンドンに戻る途中だった。あと24時間すれば恋人に会えるという思いが詞にも入っている。

とは言っても詞的に見ると、理屈や物語を味わうと言うよりは、イメージを折り重ねているだけとも取れる。恋人への愛しい思いや、そこにたどり着くまでの険しく美しい自然の光景、それらが混ざってちょっと独特な非現実的な崇高な世界が垣間見える。

そして“roundabout”であるが、もしかすると実際に「環状交差点」を通過したのかもしれない。彼らが移動中だったグラスゴーのあるスコットランド地 方はこのroundaboutが多いようだ。


ただ“I'll be the roundabout”と言っているので、そこに「いる」のではなく「なる」のだ。この意味に関しては英語を母国語にする人たちの間でも議論があるようで、「メリーゴーランドのことを言っている」とかいう意見も目にした。

個人的には、実際に目にした環状交差点から、愛する君が自由に好きな方向へ進めるようになれる存在としての「私」を連想し、比喩的に使っているのではないかという気がする。だからこの曲は雄大なイメージを伴った一種のラブソングだとも言える。この世界で深い恐怖に怯えたとしても、「私」が君を本来の自由な君自身にしてあげよう、という感じだ。ただ「環状交差点」では詞的にしっくりこないので、そのまま 「ラウンドアバウト」とした。

Yesの詞はどれも曖昧で、抽象的で難しい。そこが面白いところでもある。

10 件のコメント:

  1. 初めまして、比良坂蒐(ひらさかあかね)と言います。
    YESの「Roundabout」の歌詞を探してこちらにたどり着きました。
    この曲は「ジョジョの奇妙な冒険」という深夜アニメのエンディングテーマに用いられており、私は「ジョジョ」を見てからこの曲を知ってどんな歌詞なんだろうと興味を持ち、今回訳詞を探していた際に偶然こちらのブログにたどり着きました。
    「Roundabout」の歌詞だけでなく、曲の解説も見られて勉強になりました。また他の曲の歌詞も見てみたいと思います。
    それでは、失礼いたしました。

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  2. コメントありがとうございます!Yesの曲はほとんどがボーカルのJon Andersonの作詞ですが、抽象的で分かりにくく、メンバーからも意味が分からないと不満の声も上がっていたとか(笑)。むしろ言葉の響きとかイメージの積み重ねで歌詞を書いていたようで、詩だと思えば文法的に辻褄が合わないこともある程度許されるのでしょうが、それにしてもどう繋がっているのか分かりづらい歌詞になっています。少しでもお役に立てたのなら嬉しいです!

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  3. 私も一番最初にコメントしていた方と同じ理由でここにたどり着きました、歌詞の和訳を知り、意味が深くそして不可思議なことにとても心を惹かれました、歌詞の意味は管理人様が解釈していた。

    >>実際に目にした環状交差点から、愛する君が自由に好きな方>>向へ進めるようになれる存在としての「私」を連想し、比喩>>的に使っているのではないかという気がする。だからこの曲>>は雄大なイメージを伴った一種のラブソングだとも言える。>>この世界で深い恐怖に怯えたとしても、「私」が君を本来の>>自由な君自身にしてあげよう

    上記の解釈はとても素晴らしく思えました、私も帰り道に見た風景が恋人に合える思いで美しく壮大に見えた物を次々と歌詞にしていったように見えます。抽象的な歌詞だから深く考えることもできるし色々と解釈もできる、曲にも力強さと疾走感があって素晴らしいと感じました。

    最後に、このような曲はなかなか和訳がないので見つかった時は嬉しかったです、これからも更新を頑張ってください。

    長文失礼致しましたm(_ _)m

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  4. コメント有り難うございます。プログレの詞は哲学的だとか文学的だとか言われることが多いですが、Jon Andersonは何かを深く考えて詩を書いている感じはしません。彼にとっての日常とか感情っていうのは、こういうものなんじゃないかなと思うのです。
    だから逆に洒落た言い回しをしようとか、格好良く表現してみようみたいな青臭さがなくて、聴き手のイメージを刺激して、曲に広がりを持たせることができているんでしょうね。
    励ましのお言葉、有り難うございます!

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  5. はじめまして、帝王と申します。「ジョジョ」EDで辿りつきました。
    訳を読ましていただきまして、昔、英国をレンタカーで旅行したことを思い出しました。
    英国の道路には、やたらと多いこの「Roundabout:円形交差点(いわゆるロータリー)」ですが、一旦環状の車の流れに乗れば、どの道にも行けるし、来た道をもどることもできるし、迷っている場合は決断するまでそのままぐるぐる回り続けることもできるという、不慣れな旅行者には親切な設備なのです。

    この曲も、あるいは「人生の分岐点」的な意味があるのでしょうか?

    唯一の問題は、ぐるぐる回っているうちに自分がどこからやってきたかが分からなくなる点(なんか哲学的ですね)

    駄文失礼いたしました。

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    1. コメントありがとうございました!このroundaboutという曲も、ボーカルメロディーと同じくらいインストメロディーが生きていて、それらが迷宮のような世界を作ってますね。ぐるぐる回ってわからなくなる感じが、そこにはあるのかもしれません。そういうところもroundaboutというタイトルに合っているのかも。

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  6. 僕にはJonが、「僕はroundaboutになろう」という時、僕には単純ですが「僕がこのバンドの中心としてがんばろう」といってるように聞こえます。
    Fragileを制作中、彼らにはバンドとしての成功が目前に見えていました。巨大化するビジネスの中で、だれかがまとめていかなければならない。その役を自分がやろう、と彼は言ってるのではないでしょうか。
    たとえば、このバンドの70年代、80年代、ABWH、90年代の重要な作品を見た時、アイデンティティとして共通しているものは明らかに「ジョンアンダーソン」です。90125イエスとリアル「プログレ」な70年代イエスという非常に異質な音楽を志向するグループを同じ名前で活動させ、さらに90年代はじめには両方のメンバーを同じステージに立たせた。そこには明らかにJonのイエスというグループはこれでいいのだという意志があるようにしか思えないのです。
    また、ロックバンドとしてイエスの一つ一つの曲を考えるとボーカルが休み各楽器がソロをする時間が非常に長い。しかし最終的にはJonが出てきてまとまる。これがイエスの音楽だと思うのですが、そこにはスティーブ、クリス、リック、ビルらそれぞれが自分のスタイルとまでいえるレベルにまですでに達していた才能のある彼らへの感動と遠慮がその根底にはあるのではないでしょうか。音楽を非凡なものにするのは彼ら、僕はその中心で詩と歌とこのイエスというビジネスのまとめ役として頑張るんだ、とちょうどこの曲を作っているとき思ったのではないかと、特に舞台の中央で、長い時間タンバリンを叩いて歌の番を待つJonを見る時に思うのです。
    「こわれもの」である個性豊かな音楽男たちの見事なアンサンブル、それが具体的な形を取り始めた時作られたこの曲は、Jonが自分が中心= roundabout になってこんなファンタスティックなバンドをこれからがんばっていきます、というこれから始まるイエスという栄光の歴史の開会宣言のような気がしてならないのです。

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    1. コメントありがとうございます!
      確かにこの曲には不安と希望が入り交じっている歌詞のように思えます。でも描かれる光景は美しく神秘的で、「君」への思いも強く、最後は希望が勝る。そこにはおっしゃる通り、その時のバンドの勢いも色濃く反映されているのかもしれません。実際、演奏は力強くポジティヴですし。それはJonの気持ちでもあるし、当時のバンド全体の雰囲気だったのかもしれませんね。

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  7. どうも。
    私もこの歌詞がどうもわからなくてこちらにたどり着きました。
    秀逸な解釈を教えていただきありがとうございます。
    ところで、友人にこの曲が好きで話題になっていたことがあったのでこのページをFacebookで紹介していも構いませんか?

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    1. コメントありがとうございます。
      facebookでご紹介いただけるとのこと、有り難く思います。お役に立てたようで嬉しいです!

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