2009年3月30日月曜日

「ユニヴァース」シンフォニック・スラム


原題:Universe

■「Symphonic Slam
シンフォニック・スラム収録







あなたの心の中にある宇宙
決して終わることのない思索
人は自らが求める役割を演じることに
専念している
つかみどころのない心の中では
満足を得ることは難しい
探し続けなければならない
わたしが見つけだせたものを見るのだ

現世の子供たちは求め続けるだろう
自分たちの目的を
おのれの魂を見つけるための
終わり無き戦いの中で

人の魂の探求が終わる前に
つかみどころのない心がすでに頭をもたげているだろう

Universe within your mind
Never ending thought
Man is in devotion
Playing roles he's sought
Satisfaction is so hard
in your elusive mind
Got to keep on searching
see what I can find

Earth's children will be searching
For their goal
In never ending battle
To find their soul

Before this quest of human spirit's done
Your elusive mind will have begun.


【解説】
カナダのバンド、シンフォニック・スラムが、バンド名をアルバム・タイトルにした1976年の唯一の作品。ティモ・レイン(Timo Lane)が初めてギター・シンセサイザーを使用したことが話題になった。

バンド名からシンフォニック・サウンド満載なアルバムかと思いきや、実際はハードロックを基本とするバンド。ギターシンセサイザーのサウンドを全面に出したシンフォニックな曲は、最初の2曲に凝縮されている。

この「Universe」はイントロにSEが使われたりして最もシンフォニック色の強いドラマティックな最初の曲。「universe(宇宙)」とタイトルがついているが、歌詞を見るとSF的宇宙のことではなく、人の心に広がる内的宇宙を指すようだ。

ここに出てくるのは「あなた(you)」、「人(man)」、「現世の子供たち(earth's children)、そして「わたし(I)」である。「話者=わたし」が語りかけている「あなた」は、「人」であり「現世の子供たち」のことであろう。ここで語られている人々は心の中に宇宙を持ち、己の役割、己の魂、己の目的を探し続けている。しかし「つかみどころのない(elusive)」心は、その探索に終わりを与えてくれない。「universe」とは混沌とした広大な空間というネガティブな意味で使われているように思われる。
「リーダーズ英和辞典」(研究社)によれば、「earth《天国・地獄に対して》この世, 現世 (this world); 《soul, spirit に対して》肉体」とある。「soul」や「spirit」を求めながら得られない人ということは、現世で肉体に縛られた哀れなる子供たち、つまり「children of God(神の子)」のことを指すと思われる。

ということは、一度だけ出て来る「わたし(I)」とは何か。「see what I can see(私が見ることのできるものを見よ)」と諭しているのは誰か。やはり「神」であろう。

つまりこの歌詞は、「神」である「わたし」が、人類に対して、心の中の暗黒の宇宙においても、
神であるわたしの見たことを道しるべとしながら、自己の探求を続けることを説いているのだと解釈した。「つかみどころのない心(elusive mind)」のために、答えを見つけることはできない。しかし探求し続けることが人としての生き方なのだと言っているかのようである。

ちなみに曲のイントロに流れるSEは、重い鎖を引きずるような音である。人は苦しみながら、己を求めながら生きていくのである。

短い歌詞だが、サウンドが非常にドラマチックなので、それこそが人に課せられた役割なのだ、とでも言うような運命的な生きることの苦しみや重みのようなものが感じられる。

ちなみにドラマチックではあるが、最初聴いた時に、メロディーラインが何となく歌謡曲っぽい感じがした覚えがある。頭の中には「京都の街が云々」みたいな歌詞が浮かびそうな感じ。その分さらに強烈に印象に残っている曲なのでありました。

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