2009年3月23日月曜日

「南の空」イエス

原題:South Side Of The Sky

■「Fragile」(こわれもの)収録







越えるべき川そして山
山々では日の光は時として弱まる
南側の周辺
叫びたいほどの寒さ
我々にとってその日ほど寒い日がかつてあったろうか
まるで永遠なる世界から百万マイル
遠く離れているかのようだった

前へ進めと友はそれだけを叫んでいた
さらに深くどこか我々が横になり
休息を取れる場所に向って
寒さが妨害する中で
我々にとってその日ほど寒い日がかつてあったろうか
まるで永遠なる世界から百万マイル
遠く離れているかのようだった

全ての雑音の中で一瞬一瞬が消えて行くように思えた
吹雪そして励ましの声
空の暖かさを伝える声
死ぬときの暖かさを伝える声
我々にとってその日ほど暖かい日がかつてあったろうか
まるで永遠なる世界から百万マイル
遠く離れているかのようだった

山々では時として日の光は弱まる
川はその犠牲を無視して
空に溶け込むことができる
死ぬときの暖かさ
我々にとってその日ほど暖かい日がかつてあったろうか
まるで永遠なる世界から百万マイル
遠く離れているかのようだった

A river a mountain to be crossed
The sunshine in mountains sometimes lost
Around the south side
So cold that we cried
Were we ever colder on that day
A million miles away
It seemed from all eternity

Move forward was my friend's only cry
In deeper to somewhere we could lie
And rest for the day
With cold in the way
Were we ever colder on that day
A million miles away
It seemed from all eternity

The moments seemed lost in all the noise
A snow storm a stimulating voice
Of warmth of the sky
Of warmth when you die
Were we ever warmer on that day
A million miles away
We seemed from all eternity

The sunshine in mountains sometimes lost
The river can disregard the cost
And melt in the sky
Warmth when you die
Were we ever warmer on that day
A million miles away
We seemed from all of eternity


【解説】
Yesが飛躍的にその音楽性を高めた1972年発表のアルバム「Fragile(こわれもの)」からの一曲。旧LP時代ではA面ラストの曲。なかなかライブでは再現が難しい曲のようで、最近までライブで演奏されたことの好くなかった曲。そう言う意味では隠れた名曲と言えるかもしれない。

LPレコードの解説には「ストーリーは、山登りを志す男の話に見えるが、これは人生の中でもがきながら生活していく男の話だとのこと。(メンバーのビル・ブラッフォードの談話)」とある。

また「イエス・ストーリー 形而上学の物語」(ティム・モーズ、シンコー・ミュージック、1998年)によれば、ボーカルのジョンが次のように述べている。

「ある記事を読んでいると、眠りと詩は隣り合わせにあると書いてあった。僕はこれをすごく詩的だと思ったんだ。だれも死がどんなものか本当は分かっていないからだ。死はこれまでずっと悪い意味で使われてきていた…おまえも死ぬんだぞ!とかね。でもこれはとてもおかしな考えだ。だって、生命はすごく美しいものなのに、死が美しくていけないわけがないだろ?死は生命の延長線上にあるに違いない。“南の空”は、あの山を登りつづけて一生懸命頂上へたどり着こうとする様子を歌ったものだ。著上へたどり着くにはさまざまな変遷を経ないといけない。それが永遠の眠り、あるいは来世ということなんだ。“南の空”はそても神秘的な曲なんだよ。」

う〜む、具体的な描写を人生に照らし合わせるだけでなく、生命や死にまでイメージを広げてしまうところがジョンらしいというか。

まず両者のコメントから比喩的に山登りの困難さを歌っていることがわかる。日の光は弱く、時に吹雪、南側の空だから本来は陽が自分たちを照らしてくれるはずなのに、叫びたいほどの寒さ。

「eternity」とは「死後に始まる永遠の世」という意味がある。「わたしたち(we)」が休息を取る場所を探しつつ、寒さと闘う時思うのは、死後の永遠なる世界にたどり着くには、まだまだ果てしなく遠くまで行かねばならないと言うこと。

しかし第3連、第4連では「warmth when you die」という表現が出てきて、「cold」から「warmth」へと受ける感覚が変わっている。しかし「warmth when you die(死ぬときの暖かさ)」とあるように、生きている時のcoldな試練と対比させて、死ぬとき・死んだ後のwarmthが歌われているのだ。これほどその暖かさを感じた日はあったろうか、とさえ思う。それだけ死に近いところで奮闘している。

それでもまだまだ「eternity」までは限りなく遠い。
「死」を肯定し美化しながらも、一生懸命coldが「in the way」(妨害する)中を突き進んで行くことで、その結果として最後の最後に「eternity」にたどり着き、本当のwarmthに包まれるのであろう。

宗教的ですらある。しかし辛い人生を生きるて死んでいくことは、決して残念なことではなく、さらに美しい世界がそこに広がっているという、生きる希望を歌った曲だと解したい。

サウンド的には、ビル・ブラッフォードのロックなドラミングが堪能できるスリリングな曲だ。強力なバックのサウンド、それにも負けないジョンの力強いボーカル。ソロ曲とバンドの曲が交互に配置されている「Fragile」では、バンドでの力強い曲が大きな魅力を放つ。この「South Side Of The Sky」は、ストレートでドラマティックで、詞的にも前向きな、非常に魅力的な曲だと言えよう。


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