原題:The Central Sun Of The Universe ■「Farol Da Liberdade」(自由の灯)収録 私たちは火の周りに集まる あなたの愛の甘美な火 私たちは頭を膝の上に休めて 太陽が昇るのを待つのだ 太陽 太陽 太陽 世界の中心にある太陽を感じよう 太陽 太陽 太陽 私たちは今でも愛の存在を信じる 海辺にたたずみ 終わり無き夜の間中 ダイヤモンドのように輝く海を渡って 光の船がやってくるのを待つ 太陽 太陽 太陽 世界の中心にある太陽を見よう 太陽 太陽 太陽 ため息は押しやり自分の道を信じるのだ 両手と心に 剣を持つ準備ができている 正義のために闘おう 新しい世界を作ろう すべての芸術と科学 そして音と夢は 永遠に生き続けるだろう 恐れるな 罪などない 私たちはみな大きな光を目にしている そして私たちは大きな光へ向っている、太陽へ 人間たちの抱く夢 黄金時代が期待通りに姿を現すだろう 私たちは知っている すべての痛み そして全ての涙は 消え去るであろうと 私たちにはわかっているのだ 私たちは火の周りに集まる あなたの愛の甘美な火 私たちは頭を膝の上に休めて 太陽が昇るのを待つのだ 太陽 太陽 太陽 世界の中心にある太陽を見よう 太陽 太陽 太陽 ため息は押しやり自分の道を信じるのだ 私たちにもう恐れはない 疑いの心もない あなたの声は輝かしく明確だ あたなの大きな声を聞きたい 太陽 太陽 太陽 世界の中心にある太陽へ 太陽 太陽 太陽 ちょっとした壁だ 飛べると信じるのだ 両手と心に 剣を持つ準備ができている 正義のために闘おう 新しい世界を作ろう すべての芸術と科学 そして音と夢は 永遠に生き続けるだろう 恐れるな 罪などない 私たちはみな大きな光を目にしている そして私たちは大きな光へ向っている、太陽へ 太陽とともに鼓動する 太陽とともに呼吸する 太陽とともに一つになる We gather around the fire Sweet fire of your love Our heads rest on our knees We wait for the rising sun Sun, Sun, Sun... Feel the Central Sun of the Universe. Sol, Sol, Sol...We still belive in love. We stand along the shore Waie for ships of light Across the diamond sea Through the endless night Sun, Sun, Sun... See the Central Sun of the Universe. Sol, Sol, Sol... thrust the sigh from you and you trust your way Our hands and hearts are ready To hold the sword Fight for justice Build a new world All arts and science All sounds and dreams Will live forever No fear, no sins. We all see a big light We're going to a big light, Sun! Humans Dreams The golden age will come through We know All the pain And all the tears Will be gone. We know. We gather around the fire Sweet fire of your love Our heads rest on our knees We wait for the rising sun Sun, Sun, Sun... to the Central Sun of the Universe. Sol, Sol, Sol... thrust the sigh from you and you trust your way We have no more fear we have no more doubt Your voice is brightly clear We want to hear it loud Sun, Sun, Sun...to the Central Sun of the Universe. Sol, Sol, Sol...just a wall from you and you trust in flight Our hands and hearts are ready To hold the sword Fight for justice Build a new world All arts and science All sounds and dreams Will live forever No fear, no sins. We all see a big light We're going to a big light, Sun! We pulse with the Sun We breath with the Sun We are one with the Sun 【解説】 南米ブラジルのシンフォニックバンドの重鎮ザグラド・コラソン・ダ・テッラ(Sagrado Coração Da Terra)の3毎目のアルバムにして最高傑作の呼び声高い作品「自由の灯」から、そのラストを飾る雄大な曲。 バンド形式は取っているが、実質ヴァイオリンのマルクス・ヴィアナ(Marcus Viana)を核としたプロジェクト的なバンドなので、アルバムによってメンバーも異なる。本アルバムには男女ボーカルも参加しているが、何と言ってもヴィアナのクラシカルなヴァイオリンの響きと、雄大でおおらかなメロディーを持つ、各曲のすばらしさに尽きる。インストゥルメンタルパートはよくPFMに似ていると言われるが、それも納得の美しさと力強さがある。 加えて、ザグラド・コラソン・ダ・テッラの音楽には、どこかニューエイジ風な自然への愛、神への愛といった、包み込まれるような神聖さがある。この「全ての星は太陽を回る」の歌詞にもそういった雰囲気が感じ取れるであろう。 「あなたの甘美な火」の「あなた」は「太陽(Sun)」を指していると考えられる。擬人化しているという点では、「Sun」という呼びかけとともに、「Sol」という言い方も使われている。「Sol」とはローマ神話の太陽神のこと。ギリシャ神話ならHeliosに当たる。
原題:Universe ■「Symphonic Slam」 (シンフォニック・スラム)収録 あなたの心の中にある宇宙 決して終わることのない思索 人は自らが求める役割を演じることに 専念している つかみどころのない心の中では 満足を得ることは難しい 探し続けなければならない わたしが見つけだせたものを見るのだ 現世の子供たちは求め続けるだろう 自分たちの目的を おのれの魂を見つけるための 終わり無き戦いの中で 人の魂の探求が終わる前に つかみどころのない心がすでに頭をもたげているだろう Universe within your mind Never ending thought Man is in devotion Playing roles he's sought Satisfaction is so hard in your elusive mind Got to keep on searching see what I can find Earth's children will be searching For their goal In never ending battle To find their soul Before this quest of human spirit's done Your elusive mind will have begun. 【解説】 カナダのバンド、シンフォニック・スラムが、バンド名をアルバム・タイトルにした1976年の唯一の作品。ティモ・レイン(Timo Lane)が初めてギター・シンセサイザーを使用したことが話題になった。 バンド名からシンフォニック・サウンド満載なアルバムかと思いきや、実際はハードロックを基本とするバンド。ギターシンセサイザーのサウンドを全面に出したシンフォニックな曲は、最初の2曲に凝縮されている。 この「Universe」はイントロにSEが使われたりして最もシンフォニック色の強いドラマティックな最初の曲。「universe(宇宙)」とタイトルがついているが、歌詞を見るとSF的宇宙のことではなく、人の心に広がる内的宇宙を指すようだ。 ここに出てくるのは「あなた(you)」、「人(man)」、「現世の子供たち(earth's children)、そして「わたし(I)」である。「話者=わたし」が語りかけている「あなた」は、「人」であり「現世の子供たち」のことであろう。ここで語られている人々は心の中に宇宙を持ち、己の役割、己の魂、己の目的を探し続けている。しかし「つかみどころのない(elusive)」心は、その探索に終わりを与えてくれない。「universe」とは混沌とした広大な空間というネガティブな意味で使われているように思われる。 「リーダーズ英和辞典」(研究社)によれば、「earth《天国・地獄に対して》この世, 現世 (this world); 《soul, spirit に対して》肉体」とある。「soul」や「spirit」を求めながら得られない人ということは、現世で肉体に縛られた哀れなる子供たち、つまり「children of God(神の子)」のことを指すと思われる。
ということは、一度だけ出て来る「わたし(I)」とは何か。「see what I can see(私が見ることのできるものを見よ)」と諭しているのは誰か。やはり「神」であろう。
原題:Breathless ■「Breathless」(「ブレスレス」)収録 彼女はぼくの最初の恋人 あらゆる点で優雅な人 丘の斜面を身にまとい 天空を夜から昼へと変える そして彼女を見ると僕は必ず息をのむだろう そても穏やかなこの静けさを 夜明け前、薄明の一瞬 世界中が生まれ変わりを待つ時に 彼女はもたらす 誰も彼女の名前は知らず 誰も彼女がどうやってここに来るようになって 愛と希望を全ての人々に与えるようになったのか 知らない この丘と同じくらい老いていながら 彼女の足下に広がる 平野に昇る朝の太陽のように若々しい 彼女に会うと 僕は必ず息を飲んでしまうのだ She is my first love Graceful in all her ways Folding the hillside Turning the sky from night into day She won't fail to take my breath away So soft this silence She brings before the dawn A time of twilight When all the world waits to be reborn Nobody knows her name No one knows how she came to be here at all Giving her loving Hoping to everyone Old as the hills Young just like the rising sun over fields That lie away beneath her feet Ev'ry time we meet She takes my breath away 【解説】イギリスの誇る叙情派バンド、キャメルの1978年作「ブレスレス(Breathless)」のタイトル曲にしてアルバム最初の曲「ブレスレス(神秘の女王)」だ。 前作「Rain Dances」でオリジナルメンバーのダグ・ファーガソン(ベース)が脱退、代わって元ハットフィールド&ザ・ノースのリチャード・シンクレア(ボーカル、ベース)が加入というメンバー交替があったが、この「Breathless」ではさらにメル・コリンズ(サックス、フルート、クラリネット)が加入、表現の幅が広くなると同時に、そこはかとなくカンタベリー風な雰囲気も加わった。 さらにこの作品をもってオリジナルメンバーで、アンディとともにサウンドの核となっていたピーター・バーデンス(キーボード)が脱退するとことになる。メンバーの移動の激しい中で、次第にキャメルサウンドが変化していく過程にあるアルバムである。
「from night into day」、「before the dawn」、「like the rising sun」と、明け方の神秘的な夜明けからの陽光を思わせる言葉が、彼女のイメージに重なる。彼女は朝の光をもたらすような女性なのか。
逆ではないかなと思う。 それは「彼女」という人物のイメージではなく、そうした情景を彼女という「丘のように年老いて(Old as the hills)」「平野を照らす朝日のように若い」、“自然の神のような女性”として擬人化したのではないか。
だから「わたし」がいつも息を飲んでしまうのは、イギリスの古くからある美しい田園風景のことではないか。特に明け方の静けさの中、ですべての存在が再び朝日を浴びて生まれ変わるかのような瞬間。「わたしの最初の恋人(my first love)」とは、そうした美しい自然、美しい時間に、幼い頃から触れていたことを言っているように思う。
でも、ねぇ君、それにはどうしたらいいか教えてくれないか? I am trying to see you Trying to catch you with my eyes I am trying to meet you Trying to reach you with my hand Try to feel you near me Try try try to hear you near me Try to make you mine tonight Ah. but you are walking by I am gonna to get you Gonna get you just in time I am goona to have you Gonna make that you are mine I'll make you living with me Make make make you stay with me Make us stay together now But can you baby? You tell me how 【解説】 ドイツのバンド、グロープシュニット(Grobschnitt)の同名のデビューアルバムの冒頭の曲である。バンドは初期の頃から自作ライティングシステム、メーキャップ、パントマイムなど、演劇的要素を盛り込んだステージを行っているが、その妖しさはすでにこのアルバムにも滲み出ている。 この「至福の歌」の音楽的特徴は、最初に調子っぱずれのコーラスからボーカル部分が歌われ、その後14分近い本作のほとんどがインストゥルメンタル・パートとなる点。ボーカルパートはダブル・ドラム編成を活かしたパーカッシブで乗りのよいパート。しかし何かが妖しい。ドラムが2セットあるのにハイハットをダブルで刻んだり、スネアが小太鼓的な使われ方をしたり、どっしりとしたロックな力強さがないのだ。この不思議な音空間が実はグロープシュニットの本デビューアルバムの魅力でもある。 インストパートは実際の弦楽器の音が入るところから始まり、その後は若干ピンク・フロイドに似て、スローテンポにオルガンが鳴る中で、ギターのソロが続く。中盤から後半の盛り上がりが聞き所。ただフロイド的な浮遊間や間の妙みたいなものはなく、ギターは弾きまくっている。鳴り続けるオルガンとピアノが美しい。終盤エレクトロニクスSEが飛び交うあたりが妖しさを倍増させる。 歌詞は、よく言えば一人の女性に一途、悪く言えば妄想ストーカーのような内容である。「〜しようとしている」の繰り返し。努力しているのだろうが、「君は近くを歩いているだけ(you are walking by)」なのだ。 第2連は「Try」という動詞で始まっているが、第1連につながる「話者」の気持ちだとわかるため、すべて「I try」の省力として解釈した。つまり内容的に第1連と同じ、「話者」の行動、それも相手に伝わらない独りよがりの行動、あるいは行動にもなっていない強 い願望である。 「gonna」は「goinng to」のくだけた綴り。「〜するつもりだ、〜しようと思っている」の意。「just in time」は「ちょうどよい時に」。最後の「Can you baby? You tell me how」は、「Can you tell me how baby?」ということを「話者」が、言いよどみながら表現したと取った。 サウンドも妖しいが、歌詞もどことなく妖しい。もしかしたら「ぼく」は「君」とは一度も話したことがないんじゃないか、「君」は「ぼく」のことを全く知らないんじゃないか、そんな気さえしてしまう。冒頭の神聖な合唱隊のイメージを崩す調子の外れたコーラスの暗さが思い出される。 ボーカルパートのサウンドは威勢がよくスリリングですらあるが、若干ドラムのリズムがもたつく。そして後半のインストゥルメンタル部分は陰鬱そのものである。和訳タイトル「至福の歌」ということなのなら、「ぼく」個人の中で閉じた至福かもしれない。想いをつのらせ想像をたくましくさせて喜びに浸っている至福。現実には「僕」は、インストゥルメンタルパートに見られる闇の世界にいるかもしれない。 何とも不思議なサウンドのグループである。その不思議さがジャケットの不気味さと結びついて、独特の暗い魅力を発散している。 なお英詞は日本版LPに載っていた英文歌詞を使った。
原題:「Jerusalem」 ■「Brain Salad Surgery」 (恐怖の頭脳改革)収録 古代のあの足が イングランドの山々の緑の上を歩いたのか? 聖なる子羊が イングランドの心地よい牧草地で見られたのか? 神聖なる表情が 雲で覆われた丘を照らしていたのか? そしてこの暗い悪魔のような工場に エルサレムが造られたというのか? わたしに燃える金の弓を与えたまえ! わたしに希望の矢を与えたまえ! わたしに槍を与えたまえ:あぁ雲よ、消えうせよ! わたしに炎の車を与えたまえ! わたしは精神的戦いを止めはしない わが手に剣を休めもしない われわれがイングランドの緑豊かなすばらしきこの地に エルサレムを建てるまでは And did those feet in ancient time, Walk upon England's mountains green? And was the Holy Lamb of God On England's pleasant pastures seen? And did the Countenance Divine, Shine forth upon our clouded hills? And was Jerusalem builded here Among these dark Satanic mills? Bring me my bow of burning gold! Bring me my arrows of desire! Bring me my spear: O clouds unfold! Bring me my Chariot of Fire! I will not cease from mental fight; Nor shall my sword sleep in my hand Til we have built Jerusalem In England's green and pleasant land. 【解説】 「エルサレム」(Jerusalem)は、18世紀イギリスの詩人ウィリアム・ブレイクの長詩「ミルトン」(Milton)の序詩に、同国の作曲家サー・カールズ・ビューバード・パリーが1916年に曲をつけた合唱曲。本来の題名は歌詞の冒頭から“And did those feet in ancient time”(古代あの足が)であるが、『エルサレム』の名で知られる。(以上「ウィキペディア『エルサレム(聖歌)』より) ということで、イギリスのバンドで史上最高のキーボードトリオ、エマーソン・レイク&パーマー(以下EL&P)の最高作と呼ばれる「恐怖の頭脳改革(Brain Salad Surgery)」(1973年)の最初の曲である「聖地エルサレム」は、EL&Pのオリジナル曲ではない。 したがってオリジナルの長詩「ミルトン」において、詩全体の中で、この部分がどういう場面をどういう意図で書かれているかは、「ミルトン」の専門的な鑑賞や研究に譲しかない。しかしここではあくまで、「恐怖の頭脳改革」の最初の曲としての「聖地エルサレム」という曲の歌詞として見てみたい。 まず語り手は、このイングランドは緑豊かな穏やかな牧草地であったと言う。かつてここには「古代の足」や「聖なる子羊」がいて、聖地エルサレムも存在していたことも知っている。「聖なる子羊」は通常イエス・キリストを指す。「古代の足」とはそのキリストの足のことか。 そして語り手は、現在のイギリスの地が「雲に覆われた丘」や「暗い悪魔のような工場」と化していることを嘆いている。ちなみに、「リーダーズ英和辞典」(研究社)によると、「dark Satanic mills 暗い悪魔のような工場《Blake の詩 `Jerusalem' (Milton の序詩) の一節; イングランド北部のかつての暗鬱な工業都市を暗示》.」とある。 かつてこのイギリスは神がおり聖地エルサレムもあったが、現代においてそれは過去のこと、すでに失われていると考えている。そして暗い工業都市から再び聖地エルサレムをこのイギリスに取り戻すために、闘おうとしている。とくに精神的な戦いを行うと叫んでいる。 これはグレッグ・レイクが歌っていることからの印象も大きいが、1969年にキング・クリムゾンが「クリムゾン・キングの宮殿」の「21世紀のスキッツォイドマン」などから伺える、現実世界への幻滅につながるイメージである。後にクリムゾンが「Starless and Bible Black」と言った、当時の若者の時代認識、時代への絶望感に近いのかもしれない。 しかし、この歌詞はその暗い悪魔のような工場が立ち並ぶ現実に戦いを挑もうとしている。それは常にオルガンやシンセサイザーと“格闘”しながら、驚異的な演奏を3人だけで繰り広げてきたバンドのイメージにつながる。実際キース・エマーソンのプレイは、高度な技術を美しく聞かせるというよりは、高度な技術を屈指して、何か普通の人間にはどうすることもできない扉をこじ開けようと、全身全霊で格闘しているかのように見えるのだ。 美しいメロディー、パイプオルガンのようなキースのオルガン、ティンパニーまで使用しドラマチックに盛り上がるカールのドラム&パーカッション。非常に勇ましい曲である。まさに幕開けにふさわしい曲。 そして格闘は2曲目から始まるのだ。
オタマジャクシたちが耳の中で金切り声をあげている: 「ねえねえ、ろくでなし同好会! この歌の意味を教えてよ、そしてそれを共有しようよ!!」 何が起こっているのか理解する方法はないんだ 僕は昨日現状がわからなくなってしまったんだ 今となっては僕を目覚めさせるのは 寛大さだとわかったんだ だからそんなふうにやっていこうじゃないか 君は僕に対して気を遣わないでくれたまえ 僕も君や君の友だちに気を遣わないようにする - 僕たちはそんなやり方を広めることができるだろ 急ごうじゃないか だって僕らは時間を無駄にしているんだから 本気で取らないでおくれよ、本当に、なんたる冗談! 大事なのは共有するってことだ 激しく困惑してるところに無神経に感情を吐き出したりすれば、君はうんざりしてしまうだろう お金はどこか別のところで使ってよ その手の安っぽい哲学で君をわずらわせたくないんだ そんなのはテレビでやってるのを見る方がまだましさ 特に大多数は 人目を忍んで使ったヘアスプレーにちょっと注意を向けるだけさ みせかけだけの女優が服を脱ぐ時にはね ただ単に自分の曲線美や胸の谷間と 髪の毛のことなど完全に気にしてないというそぶりを示す時にね 本気で取らないでおくれよ、本当に、なんたる冗談! できるのはにっこり笑って耐えることだけさ 面白くもないのに笑ったり、とても平凡な病的な感情 そんなものは君をほとほと退屈させてしまうだろう 中断しない笑いを僕におくれ、そして災厄を追い払っておくれ そうしてくれなきゃ、ろくでなし同好会は君の耳を切り取っちゃうだろう また再び、笑い、酒を飲み、踊り、大いに楽しみ、酔いつぶれ できるだけ歌を歌い、君がそれを共有してくれるのを望みながら Tadpoles keep screaming in my ear: "Hey there! Rotter's Club! Explain the meaning of this song and share it!" There's no way of understanding what's been going on I lost track yesterday Now I found out that it's generosity that turns me on So let's keep it that way Help yourself to me, I'll help myself to youand all your friends – we can spread it around So if you can spare it then come on and share it Let's get on with it cause we're wasting our time Please do not take it seriously really, what a joke! The only thing that matters is to share it Crass displays of acute embarrassment would make you cringe Spend your money elsewhere I won't trouble you with all that cheap philosophy It's better still to watch that on T.V. Most especially adverts of some slinky hairspray When the plastic actresses take off their clothes Just to demonstrate all their curves and cleavages and subtleties quite forgetting their hair Please do not take it seriously really, what a joke! The only thing to do is grin and bear it Mirthless merriment, sickly sentiments so commonplace It would bore you to tears Give me non-stop laughter, dispel disaster Or the Rotter's Club might well lop off your ears Laughing and drinking, dancing, grooving, stoned again Falling over singing, hoping that you'll share it
【解説】 カンタベリーミュージックの一つの頂点と言われるハットフィールド&ザ・ノースのセカンドアルバム「ロッターズ・クラブ(Rotters' Club)」(1975)から、最初の曲「シェア・イッット(Share It)である。
2連の「generocity that turns me on」の「turn on」や最終連の「stoned again」は、共に「ドラッグを使う」「(ドラッグで)恍惚となった」という意味も持っている。そこはかとなく、一緒に享楽に溺れようぜと言っているようなところも感じられる。
ちなみに「リーダーズ英和辞典」(研究社)によると、「turn on, tune in, drop out (しびれて目ざめて抜け出せ)」という1960 年代のカウンターカルチャーで LSD を若者に奨励するスローガンだそうで、「薬をやって, カウンターカルチャーの環境に波長を合わせ, 社会から脱落せよ」というほどの意味として知れ渡っていたという。ヒッピー文化の教祖的存在であった Timothy Leary (1920‐96) が 66 年に行なった講演中で述べたことばに由来するらしい。
5. Recycling Here, there, new wonders gently steal, disguised distorted like moonlit seas ...and I seeyou've taken all you need, queue up, don't fear there's man's new fortune here...you hear.
Song-birds, recycling, the same old tune, Still you slave onwards, 'till all is used....tho' I'll see you'll get the life you need, queue up don't fear, it's the man who brought you here...you hear.
6. Flight To Reality You live in stainless forts, with glass walls around, Fight against resourseswith your head in the ground, A nation's urgent needfulfils another's greed going down down downdown down down down
Fly across the concrete jungle high in the clouds Looking up to crystal mountains so proud. No need to wonder why nature slowly dies going down down down Going down down down down down down down.
7. Unendless Imagination Do you see? Do you see? Do you do you see? Do you see? Do you see the ruins of a life gone by? Built upon by burning towers lighting the sky, Imagine you're the prince of eagles tears in your eyes, Do you see there's not much time before we go down down...down down down down
「7. 終わりある想像」 飛翔を続けながら、「Do you see?(見えるか?)」と「わたし」が「あなた」に問うている。これらの、過ぎ去った人類の「ruins(廃墟)」が。「prince of eagles」は「ワシの王」とか「ワシの王子」とかいうことだが、「eagle eye」が「人の行動を監視する人」という意味を持つように、良く観察することを命じているのだ。「tears in your eyes」とは「(その惨状に)目に涙を浮かべながら」。「自然もゆっくり死んでいく」中で、すべての秩序が新しく生まれ変わろうとする今、「ワシの王」を想像して現状に目を配ることすら限界(unendless)になる。「Do you see there's not much time before we go down down...」は、飛翔を続けている旧支配者である「あなた」と新支配者である「わたし」が、このままもうすぐ落ちていくのだと言いたいのか。
サウンド的には「5. Recycling」で静かなパートになる。再循環の始まりは避けられないことを諭すかのように。そして「6. Flight to Reality」から再びスピードがアップし、タイトル通り飛翔するかのごとくグングン進んでいく。「7. Unendless Imagination」では、さらに合唱団が加わり、大きな盛り上がりをもってクライマックスを迎える。最後の爆発音のような音は、旧世界が終わる瞬間なのか。その後静かに流れるゆったりとした平和な音が、全てが終わった事を印象づけるかのようだ。
原題:Recycled ■「Recycled」(リサイクルド)収録 1. 再循環(インストゥルメンタル) 2. 自動制御装置の消耗 3. 再循環カウントダウン 話をしながら落ち着け さいは投げられたのだ 終日、理性は保たれている ここで何が起こっているかをしっかりと見るのだ 見るのだ、恐れのない日はないことを それがここにある! 落ち着け 私は自分の分担を受けねばならない 世界を前にして 私はそう宣告され立っているのだ。 一日の終わりに これらの言葉に耳を傾けろ それは早過ぎも遅過ぎもせず まさにその瞬間にやって来るのだ。 おお、あなたはそれを完全に自分のやり方でやっていたのか たった今、消耗の固まりを回収することを。 状況を明らかにせよ; 機械を替えるのだ! 4. 自動制御恐怖観察器 千もの広大な帝国が存在する時代を探索するための目印となる、コンクリート廃棄物の放出の網の目、人類の耳には語られなかった言い伝えの払拭。鉄の軸が星を捕らえる間、自然の供給物…かつては無数にあった…は今は不気味な静けさに陥っている。再循環されたエネルギーは、かつてのものと同じような命のかたちを作り上げる…今、生存競争ですでに使われたパターンから、新しいカタチが形作られるのだ! あなたはわたしに心を無くしたと思わせようとした しかし違う、それはあなただ。 あなたは今に至るまで、よりよい時代を築くと考えていたが、 しかしそれは終わりを告げた。 あなたの砂上の楼閣は あなたの無力な両手に手を差し伸べる 下へ下へと下降しながら 彼らは全てを手に入れる そしてさらに多くを手に入れる…今日において、 誰も自分の過ちに まったく気づかないだろう、 彼らはあなたが一段下がる手助けをするだろう… 深く座り、あなたが落ちて行くのを見ているだろう 下へ下へと下降するのを 1. Recycle 2. Cybernetic Consumption 3. Recycle Countdown Talk away, the die is cast all the day, the reasons last. Just look what is happening here see, never a day without fear...It's here! Calm me down, I have to share before the world I stand declared. Hear these words at the end of the day come never a moment too soon. or late. Man! You had it all your own way, Now, salvaging blocks of decay. Clean the scene; Change machines! 4.Automation Horrorscope Webs of concrete giving off waste dust that marks the search of an age of a thousand vast empires, Sweeping away legends untold to human ears. While shafts of steel clutch the stars, natural supplies...once numerous..now lapse into eerie silence. Recycled energy becomes the only form of life as it was... now new forms are moulded from patterns already used in a struggle to survive! You had me thinking that I lost my mind but no, it was you. Thought you'd make it to a better time 'til now, but it's through. Your castles made of sand hold out your helpless hands going down down down down down down down They take it allthen take much more...today, no man could ever realize his mistakes, They will help you one step down... sit back... and watch you drown going down down down Going down down down down down down 【解説】 イギリス出身ながらドイツを中心に活動をしていたバンドNektar(ネクター)が、1975年に発表したシンフォニック大作にして大傑作の「Recycled(リサイクルド)」。曲数は11曲収録されているが、全曲通して「Recycled」という曲で、それが11のパートに別れていると考えた方がよさそう。 実際各曲はつながっており、旧LPで聴くとA面1曲、B面1曲で、A面の終わりからB面の最初へと自然なつながりになっている構成。全2曲。さらにCDで通して聴くと、シリアスな前半とちょっとトロピカルな後半に分かれる全1曲とも取れる。 Yesの「Close To The Edge」のような、ハイスピードで異空間を突進しているような感覚を憶える強烈な作品。ただYesと異なるのは、Nektarはギタープレイやボーカルが“ハードロック”しているのだ。“プログレメタル”とは違う“プログレハード”に近いが、そこにゲストのラリー・ファースト(Larry Fast)のサイバーなシンセサイザーが効果的に使われることで、個人プレイよりも曲の魅力と全体の疾走感で聴かせる、まさにプログレッシブな名作となった。 今回は旧LPのA面をひとかたまりとして、まず1〜4までの歌詞を見てみたい。 ここには「you(あなた)」と「I(わたし)」と、「they(かれら)」が出てくる。後半には「we(わたしたち)」も加わる。それぞれがどういう関係なのかが大きな問題だ。 まず「recycle」は「再循環」。もう再度利用すること。循環して利用すること。それには一つの循環の終わりがあるはず。「3. 再循環カウントダウン」では、古い体制を司っていた「you(あなた)」から、「I(わたし)」へと役割が移行する様が描かれる。「salvaging blocks of decay(消耗品の山を引き上げる)」仕事だ。それは自分の選択ではなく、自分の役割として宣告された(declared)のだ。わたしは行動し始める。そして命令する。「状況を明確にせよ」「機械を取り替えよ」と。それは「2. 自動再生装置の消耗」に呼応する。 「4. 自動制御恐怖観察器」では、イコライジングされた声が、機械がしゃべるように言葉を発する。歴史上広大な帝国ほど多大な廃棄物、多大なムダなエネルギーを放出している、人目を避けて闇へと。自然からの供給物は途絶え、再循環されたエネルギーが新しい命のカタチが生まれる。