2009年4月3日金曜日

「タイム・テーブル」ジェネシス

原題:Time Table


■「フォックストロット」収録







彫刻のほどこされたオーク材のテーブルが
ある物語を語る
王たち女王たちが金でできたゴブレットからワインをすする時代のことを

そして勇士たちがご婦人方を
その部屋から外へ出て涼しいあずまやへ案内しようとする時代のことを

勇敢さと伝説が生まれた時代

人にとって 名誉が命よりもはるかに意味を持っていた時代
そして良い悪いの論争は槍と剣で決めるものだった日々

なぜ、なぜわたしたちは死ぬか
答えを求めて人を殺すまで 確信が持てないのか
なぜ、そうして競争に耐え続けるのか
これ以上に大事な競争などこれまでなかったと信じながら


まるでそれは、いつの世もどこの場所でも
名前は変わってもみな自分の顔がつけていた仮面を持ち続けるからに思える

埃だらけのテーブルから
カビ臭さが漂う
変色した銀が床の上に見捨てられて置かれている
灰色のもやを通して
わずかな弱い光が射す
それが窓ガラスに傷をつける。
彫刻は消えた
傷をつけた者たちも消えた
王たちも女王たちも消え ただねずみが支配しているだけ
歳相応に弱くなった者は自然の法則に従って死なねばならぬ


なぜ、なぜわたしたちは死ぬか
答えを求めて人を殺すまで 確信が持てないのか
なぜ、そうして競争に耐え続けるのか
これ以上に大事な競争などこれまでなかったと信じながら


まるでそれは、いつの世もどこの場所でも
名前は変わってもみな自分の顔がつけていた仮面を持ち続けるからに思える


A carved oak table,
Tells a tale

Of times when kings and queens sipped wine from goblets gold,

And the brave would lead their ladies

From out the room to arbours cool
.

A time of valour, and legends born
A time when honour meant much more to a man than life
And the days knew only strife to tell right from wrong
Through lance and sword
.

Why, why, can we never be sure till we die
Or have killed for an answer,

Why, why, do we suffer each race to believe
That no race has been grander

It seems because through time and space

Though names may change each face retains the mask it wore.

A dusty table
Musty smells

Tarnished silver lies discarded upon the floor
Only feeble light descends through a film of grey.

That scars the panes
.
Gone the carving,

And those who left their mark
,
Gone the kings and queens now only the rats hold sway

And the weak must die according to nature's law
As old as they.

Why, why, can we never be sure till we die
Or have killed for an answer,

Why, why, do we suffer each race to believe

That no race has been grander

It seems because through time and space

Though names may change each face retains the mask it wore.

【解説】
Genesisの代表作「Foxtrot」から「Time Table」。歌詞の内容は「An carved oak table(彫刻の入ったオーク材のテーブル)が昔話をするという設定である。かつてそこは王や女王(イギリスなので“
女王”としたが、“王妃”とも取れる)がワインを飲み、勇敢な騎士たちが名誉の為に決闘を行うような古き時代。

そしてテーブルは問う。どうして人は争い続けるのか、命をかけて争わねば確信を得ることができないのかと。そしてこれほど大事なものは今までなかったと信じて、
争いに耐えていくのかと。

そして言う。人物がが変わっても、その人が顔につけていた仮面は変わらないからだろうと。つまり結局人が変わっても、やることは何一つ変わらなかったからだと言っているのだ。

何代も世代の交替を目にしてきた埃だらけのテーブル、かつては栄華を誇っていたながら、今はねずみだけが支配している廃墟となった宮殿で、テーブルはそうした人の世の哀れさを嘆いているのだ。

しかしそこに栄枯盛衰や人の愚かさを見るというよりは、それを嘆く古びたテーブルを含めて、ノスタルジックにイギリスの過去の栄華に思いをはせる。そこに浮かび上がる歴史と伝統と伝説とに一瞬触れる思いがするのだ。その幻視のように、歴史を感じさせる薄暗い宮殿内の今と端正で華麗なる過去のイメージとが交錯する時、非常に英国的な郷愁を感じさせられる。

クラシカルなピアノに導かれて曲は始まり、穏やかに歌われるボーカル、ピアノを中心にベース、ギターが控えめに曲を飾っていく。中間部のピアノの繊細な響きが美しい。

ちなみに「Time Table」とは「時刻表、時間割、予定表」という意味を持つが、ここでは「長い時を過ごしてきたテーブル」ぐらいの意味かな。すでにある言葉を違った意味で使うという、ちょっとしたシャレだと思います。

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