2009年4月25日土曜日

「レディー・ファンタジー」キャメル

原題:Lady Fantasy

■「Mirage(ミラージュ)」収録








[レディー・ファンタジー<出会い>]

注意深く聞いておくれ
の言葉でこれから説明するから
確かに目にしたのだけれど
決して引き止める事の出来なかった女性のことを
君は笑っているね
きっと時間がかかるだろう
君に伝わる言葉
もちろん、彼女は君のことを僕に思いださせるんだよ

僕のことを誤解しないでおくれ
いつでも簡単に言えるってわけじゃないんだ
君の頭の中や心の中にだって言葉が詰まっているだろ
君だってうまく説明できないはずさ
そう、僕ははっきりと見える
空に浮かぶ君の顔
その両目に映る月
君は僕を無視している
あぁ、その理由を教えておくれ

[レディー・ファンタジー<幻想の女神>]

あなたが青い雲の上に乗っているのを見た
あながが渦巻きの上を歩いているのを見た
目の角でこっそりと
はあなたを見たのだ

日の光の上に座っているのを見た
白昼夢のさなかのこと
あぁ、の幻想の女神よ
あなたを愛している


[Lady Fantasy - Encounter]

Well, listen very carefully,

My words are about to unfold,

Concerning a lady I've seen
But I never could hold.
I can see by your smile,
It'll take a long while,
The words that come through,

I see that they're true,
Of course, she reminds me of you.

Don't misunderstand me
It's not always easy to say,
There are words in your head and your heart
That you just can't explain.
Well, I can see clearly,
Your face in the sky,
The moons in your eye,
You're passing me by,
Oh, tell me the reason why.

[Lady Fantasy - Lady Fantasy]

Saw you riding on a blue cloud,
Saw you walking on a whirlpool,
From the corner of my eye, I saw you.

Saw you sitting on a sunbeam,
In the middle of my daydream,

Oh, my Lady Fantasy,
I love you.
(英詞は1991年発売日本語版CD添付ライナーより)


【解説】
英国叙情派プログレッシヴ・ロックグループの雄Camelのセカンド・アルバム「ミラージュ(蜃気楼)」より、アルバムラストを飾る大作「レディー・ファンタジー」である。Camelの代表曲と言っても良い、ライブでも定番となる13分近いファンタジックな組曲だ。

美しいメロディーとギター、キーボード、フルートのアンサンブル、ささやくようなやわらかなボーカル、そして頻繁なリズムチェンジ、ロック色の強いインストパートやハードなギターソロなども交えながら、全体としてはとてもファンタジックな曲になっているところがCamelらしい。

まずタイトルであるが、普通「Lady 〜」とあれば、「〜夫人・〜令嬢」と解することがあるが、「Lady Fantasy」となるとそうした使い方とは異なるだろう。

「Lady Luck」で「幸運、幸運の女神」、あるいは「Lady 」で「女王《古語・詩》という意味を持つことから、「Lady Fantasy」は「幻想の女神」あるいは「幻想の女王」という感じか。

ところが、である。このタイトルにダマされた。こうして訳してみるまでわたしは何となくこの曲は、それこそ「幻想の女神」に出会った男が取り憑かれたように恋に落ちたという、単純な話だと思っていたのだ。だから大曲でありながら、今ひとつ「Lady Fantasy」という曲に重みが感じられなかった。現実離れした夢物語の曲。勝手にそう思い込んでいたのだ。

しかし、歌詞をよく見ると、とんでもない。これは現実の女性への愛の歌、あるいは告白の歌ではないか。

まず「注意深く聞いておくれ」と「わたし」は言う。ということはこの話は独り言でも、心の中の言葉でもない。ちゃんと聞かせようとしている話なのだ。誰に?「君(you)」にだ。「確かに目にしたのだけれど、引き止める(自分のものにする)ことはできなかった女性」について、「わたし」は「君」に、言葉で一生懸命説明しようとしているのだ。

「君」は笑う。それはバカにした笑いかもしれない。あるいは困った笑いかもしれない。だからちゃんと言葉の真意があなたに伝わるには時間がかかるだろう、でも「わたし」の言葉は真実なんだ、と念を押した上で、第1連最終行、「もちろん、彼女は君のことを僕
に思い出させる」とくる。つまり「僕」は「君」への思いを非常に遠回しに言っているのだ。

第2連、「僕」はうまく説明できない、というよりうまく気持ちを言葉で伝えられる自信がないのだろう。すでにこの連での話題は「僕の見た女性(a lady I've seen)」というような漠然とした人のことではなくなっていることにお気づきであろうか。そう、「僕」がはっきり目にすることができるのは、空に浮かぶ「君」、「君」の瞳に映る月、「君」のことばかりだということ。

そして、それなのに「君」は「僕」に対して冷たいそぶりなのはなぜなんだい?と問う。すでに告白してしまっているではないですか、「僕」の気持ちを。そして暗にその気持ちに応えて欲しいと言っているのだ。

このあと長めのインストゥルメンタルパートが入り、曲調が変わる。そして
第3連、第4連のパートへ入って行く。

「僕」は実際に「君」への思い余って白昼夢を見たのかもしれない。
Lady Fantasy」にたいして「あなた」と言っている。しかし白昼夢の「あなた」は現実の「君」なのだ。「目の角でこっそりと見た」というあたりは、現実と混ざっているようにも思える

そしてここでは「
Lady Fantasy」に「あなた」のことを見たという過去形の文が続く。(主語の「I」は省略されている)。幻想的な映像である。しかし最後に言う。「僕はあなたを愛しています(I love you.)」。ここだけ現在形が使われている。これは今の「僕」の気持ちなのだ。

これこそ「僕」が言いたかった言葉。「Lady Fantasy」という白昼夢を見るほどに恋いこがれている「君」に、「Lady Fantasy」に伝えるかたちで「君」に伝えたかった言葉だ。

だからこの曲は夢物語でも幻想潭でもない。
ファンタジックな意匠を凝らして入るけれど、現実の男性から女性へのラブソング、告白の歌なのである。この感じだと、一目惚れに近いのかもしれないな。

しかしこの回りくどい告白で、「君」は「僕」の思いを感じ取ってくれたのであろうか。そこが気になるところではある。


2 件のコメント:

  1. Camelは初期の方が好きでMoonmadness
    まではよく聞いています。
    Never let go,White rider,Free fall
    Spirit of te wather,Echoes等
    あげたら切りがないですが
    たくさんのバンドと一緒に
    いろいろな曲を訳して下さい!!

    応援しています!!

    返信削除
  2. コメントありがとうございます!
    応援していただいていると思うと
    とっても励みになります。
    キャメルはやっぱりピーター・バーデンス在籍時が、独特の幻想世界を持っていていいですよね。
    がんばります!

    TAKAMO

    返信削除