2009年3月1日日曜日

「デンジャー・マネー」U.K.

原題:Danger Money

■「デンジャー・マネー」Danger Money 収録







危険手当 危険手当
 危険手当 危険手当 危険手当

 俺は家から3000マイル離れたところにいる 疲れ果て一人ぼっちだ
独身なのはいいことだ できることなら一晩中楽しい思いをしていたいぜ
 しかし自分の首に賞金が掛かるような仕事を選んだんだ 逃げなければ

 地獄のような生き方だが 報酬はたっぷりだ

 銃を掛けておく場所はない(挨拶をかわす時間もない)
 一人残らず(誰もがおまえが絞首刑になるところを見たいんだ)
 俺はこの仕事をまた選ぶ(それはわからないさ)
 俺はその瞬間を恐れている(電話のベルがなる瞬間を)

危険手当 危険手当
 危険手当 危険手当 危険手当

 俺は太ももにルガーを装着した マグナムもだ
 快適さを求めて冷静になった もちろんひどく熱くもなれる
 俺はプロだ おまえが数秒の内に倒れているのが見えるようだ
 情けをかけないこともできる
そうさ情けには金を払ってくれないからな


 ご立派な政治的混乱(そして誰かが行かねばならなかった)
 名前と時間と住所だけ残してくれ(無地の封をした封筒に入れて)
 俺はすんでのところで脱出する
(信じられないような話をしているわけじゃない)

 そして残されたもの全てが俺のものさ(でも、おまえはどう思うんだ?)

 危険手当 危険手当 危険手当

 俺は金儲けが目当ての冒険家さ 生き延びる意志を持っている
 だが問題の核心に触れる時 命があってラッキーだと思うのさ
 過去を振り返ってみても、そうだな、また同じことをやるだろう
 俺は今 危険が迫っている情報を手にした 
だから金を受け取り逃げるだけだ


 俺は適任者の俺自身を動かし始める(そして弾丸が飛び交う時には)
 俺は誰にもみつからないところにいるのさ(死ぬのはまっぴらだからな)
 今夜のニュースになるだろう(皆いったい誰の仕業だと驚くだろう)
 また逃走するってわけだ(だが行くべき場所はどこにもない)

 危険手当 危険手当 危険手当

 Danger money Danger money
 Danger money Danger money Danger money

 I'm 3000 miles from home, I'm so tired and I'm all alone
 It's a good thing that I'm single, wish I could swing all night long
 But I got a job with a price on my head so I must get away
 It's one hell of a lifestyle but then it brings in the pay

 Nowhere to hang my gun (no time to say hello)
 And every mother's son (he wants to see you swing)
 I take the job again (and you will never know)
 I dread the moment when (the telephone will ring)

 Danger money Danger money
 Danger money Danger money Danger money

 I got a Luger strapped to my thigh, I got a Magnum as well
 I got my cold eyes for comfort, I can be hotter than hell
 I'm a professional man, I could see you in seconds flat
 I can show you no mercy, well they don't pay me for that

 A fine political mess (and someone's got to go)
 Just leave name, time and address (in plain sealed envelope)
 I get out just in time (and no-one tells the tale)
 And all that's left is mine (but how do you feel?)

 Danger money Danger money Danger money

 I am a soldier of fortune, I've got the will to survive
 But when the brass tacks are down I'm lucky to be alive
 When I think back on my past, well I'd do the same thing again
 I got a bug now for the danger, just take the money and run

 I start this whole machine (and when the bullets fly)
 I'm nowhere to be seen (you're too afraid to die)
 It's on the news tonight (they wonder who you are)
 I'm on another flight (but you're going nowhere)

 Danger money Danger money Danger money


【解説】
U.K.はアルバム「U.K.」を出した後、メンバーは分裂しU.K.自体はエディー・ジョブソン(ヴァイオリン、キーボード)、ジョン・ウェットン(ベース、ボーカル)、テリー・ボジオ(ドラムス、パーカッション)のトリオとなる。インストゥルメンタル部分の中心はエディー・ジョブソンのヴァイオリンとキーボードになり、コンパクトな編成により聴かせどころが明確になった感じだ。

それは曲にも現れていて、オリジナルU.K.よりも、さらに憶えやすいメロディー、わかりやすい構成になっているのが特徴。そのアルバム最初の曲がこの「Danger Money」だ。

いきなり変拍子のドラムスに覆い被さるキーボードと、プログレッシヴ・ロック風な出だしだが、歌が始まるとノリの良いリズムでストレートなロック色が強くなる。プログレ風な拍子のヒネリは入っているのだけど、初代U.K.同様に、まずカッコいい。

詞の内容であるが、タイトル「danger money」は、危険手当、つまり危険な仕事に就いた場合に、通常の賃金に上乗せされる特別手当のことだ。「put a price on someone's head」という表現に「〜の首に賞金をかける」という意味があることから、「俺」は、首に賞金がかかっている、賞金がかかってもおかしくないような立場にある。

ルガーはドイツ製の半自動拳銃、マグナムは弾薬が多量に装填された強力な銃。「soldier of fortune」には「傭兵」という意味もあるが、ここではもっと個人で秘密裏に活動する仕事のようだ。どちらにしても金のためなら身の危険も顧みずヤバい仕事もこなすのが「俺」だ。

分かり易い詞。裏の世界の「俺」を描いた詞と取っても、「俺」が象徴する我々の不安定な日常の比喩的表現と超深読みしてもいいのかもしれない。しかし明確になった詞の表現、そして金のためなら命をかけてもいいとか、それでも生き延びてやるといった、ある意味開き直った自己肯定的な姿勢は、「U.K.」の「In The Dead Of Night」と比べると明らかに異なる。

ジョン・ウェットんが求めていた、新しいU.K.像を象徴する曲だと言えるだろう。

余談だが「Danger Money」は英語だから様になるタイトルで、「危険手当」だとイメージがひどくズレる。だから日本人がロックをやる時、英語をつい使いたくなっちゃうんだろうなと思う。サビのところだけでも。これを「危険手当」そのままでロックにできてしまうのは「筋肉少女帯」ぐらいか。

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