2009年3月24日火曜日

「リサイクルド(1〜4)」ネクター

原題:Recycled

■「Recycled」(リサイクルド)収録







1. 再循環(インストゥルメンタル)

2. 自動制御装置の消耗

3. 再循環カウントダウン
話をしながら落ち着け さいは投げられたのだ
終日、理性は保たれている
ここで何が起こっているかをしっかりと見るのだ
見るのだ、恐れのない日はないことを それがここにある!

落ち着け 私は自分の分担を受けねばならない
世界を前にして 私はそう宣告され立っているのだ。
一日の終わりに これらの言葉に耳を傾けろ
それは早過ぎも遅過ぎもせず まさにその瞬間にやって来るのだ。

おお、あなたはそれを完全に自分のやり方でやっていたのか
たった今、消耗の固まりを回収することを。
状況を明らかにせよ;
機械を替えるのだ!

4. 自動制御恐怖観察器
千もの広大な帝国が存在する時代を探索するための目印となる、コンクリート廃棄物の放出の網の目、人類の耳には語られなかった言い伝えの払拭。鉄の軸が星を捕らえる間、自然の供給物…かつては無数にあった…は今は不気味な静けさに陥っている。再循環されたエネルギーは、かつてのものと同じような命のかたちを作り上げる…今、生存競争ですでに使われたパターンから、新しいカタチが形作られるのだ!

あなたはわたしに心を無くしたと思わせようとした
しかし違う、それはあなただ。
あなたは今に至るまで、よりよい時代を築くと考えていたが、
しかしそれは終わりを告げた。

あなたの砂上の楼閣は
あなたの無力な両手に手を差し伸べる
下へ下へと下降しながら

彼らは全てを手に入れる
そしてさらに多くを手に入れる…今日において、
誰も自分の過ちに
まったく気づかないだろう、

彼らはあなたが一段下がる手助けをするだろう…
深く座り、あなたが落ちて行くのを見ているだろう
下へ下へと下降するのを


1. Recycle
2. Cybernetic Consumption
3. Recycle Countdown
Talk away, the die is cast
all the day, the reasons last.
Just look what is happening here
see, never a day without fear...It's here!

Calm me down, I have to share
before the world I stand declared.
Hear these words at the end of the day
come never a moment too soon. or late.

Man! You had it all your own way,
Now, salvaging blocks of decay.
Clean the scene;
Change machines!

4.Automation Horrorscope
Webs of concrete giving off waste dust that marks the search of an age of a thousand vast empires, Sweeping away legends untold to human ears. While shafts of steel clutch the stars, natural supplies...once numerous..now lapse into eerie silence. Recycled energy becomes the only form of life as it was... now new forms are moulded from patterns already used in a struggle to survive!

You had me thinking that I lost my mind
but no, it was you.
Thought you'd make it to a better time
'til now, but it's through.

Your castles made of sand
hold out your helpless hands
going down down down
down down down down

They take it all then take much more...today,
no man could ever realize
his mistakes,
They will help you one step down...
sit back... and watch you drown
going down down down
Going down down down
down down down


【解説】
イギリス出身ながらドイツを中心に活動をしていたバンドNektar(ネクター)が、1975年に発表したシンフォニック大作にして大傑作の「Recycled(リサイクルド)」。曲数は11曲収録されているが、全曲通して「Recycled」という曲で、それが11のパートに別れていると考えた方がよさそう。

実際各曲はつながっており、旧LPで聴くとA面1曲、B面1曲で、A面の終わりからB面の最初へと自然なつながりになっている構成。全2曲。さらにCDで通して聴くと、シリアスな前半とちょっとトロピカルな後半に分かれる全1曲とも取れる。

Yesの「Close To The Edge」のような、ハイスピードで異空間を突進しているような感覚を憶える強烈な作品。ただYesと異なるのは、Nektarはギタープレイやボーカルが“ハードロック”しているのだ。“プログレメタル”とは違う“プログレハード”に近いが、そこにゲストのラリー・ファースト(Larry Fast)のサイバーなシンセサイザーが効果的に使われることで、個人プレイよりも曲の魅力と全体の疾走感で聴かせる、まさにプログレッシブな名作となった。

今回は旧LPのA面をひとかたまりとして、まず1〜4までの歌詞を見てみたい。
ここには「you(あなた)」と「I(わたし)」と、「they(かれら)」が出てくる。後半には「we(わたしたち)」も加わる。それぞれがどういう関係なのかが大きな問題だ。

まず「recycle」は「再循環」。もう再度利用すること。循環して利用すること。それには一つの循環の終わりがあるはず。「3. 再循環カウントダウン」では、古い体制を司っていた「you(あなた)」から、「I(わたし)」へと役割が移行する様が描かれる。「salvaging blocks of decay(消耗品の山を引き上げる)」仕事だ。それは自分の選択ではなく、自分の役割として宣告された(declared)のだ。わたしは行動し始める。そして命令する。「状況を明確にせよ」「機械を取り替えよ」と。それは「2. 自動再生装置の消耗」に呼応する。

「4. 自動制御恐怖観察器」では、イコライジングされた声が、機械がしゃべるように言葉を発する。歴史上広大な帝国ほど多大な廃棄物、多大なムダなエネルギーを放出している、人目を避けて闇へと。自然からの供給物は途絶え、再循環されたエネルギーが新しい命のカタチが生まれる。

自然を破壊し自然のエネルギーを蕩尽しつくしてきた人類は、再循環エネルギーによって新たな人類として生まれ変わる。「わたし」に課せられた役割とは、この新しい人類を率いることか。

しかし「あなた」は簡単にはその役割を「わたし」に譲ろうとはしない。「あなた」のやり方で「they(かれら)」、つまり時の権力者、帝国の支配者たちは欲しいもの全てを、手に入れてきたのだ。しかしその支配者たちからも、あなたは見放される。そんな人間が支配する世界。

「あなた」とか「わたし」と擬人化されているのは、時代を司る歴史の流れだろうか。その世界を支えている体制だろうか。今ひとつの世界が崩壊(go down)しようとしている。

サウンドはハードで、ドラムスはマーチングバンドのようにスネアを叩き続ける。エネルギーは再循環されようとし、現在の世界が崩壊する瞬間へ、ひた走るようだ。
  

5 件のコメント:

  1. すごい!スゴイです!
    このアルバム、大好きだったのですが、歌詞の内容が良く解らなくて、理解したいとずっと思ってました。
    ありがとうございます。
    これからも色々と楽しませてもらいます!

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  2. Y@もーり様

    コメントありがとうございました!
    またがんばって訳詞に挑戦しようという意欲がわいてきます。大きな力をいただきました!これからもよろしくお願いします。

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  3. 他のページも興味深く読ませて頂きました!
    危険手当・・・最高です。
    日本語だとかなりマヌケになってしまいますね。。
    ちょくちょく観させて頂きます!

    自分もプログレバンドやってますので興味があれば是非~
    http://www.youtube.com/user/TakeshiMoriwaki?gl=JP&hl=ja

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  4. ありがとうございます!

    英語と日本語の問題って大きくて、例えばPink Floydの「Echoes」で「albatross…♪」と歌われると神秘的ですが訳してしまうと「アホウドリが〜♪」だったりとか、言葉の語感のイメージがそぐわない場合って出てきてしまいますね。

    文化的にも「I love you」とは言いやすくても「お前が好きだ」とは直接過ぎて歌いづらいとか。

    あと何となくプログレ関連の歌詞って文学的&哲学的な奥の深いものみたいな聴き手の思い込みもあって、歌詞を知ることで、もっとシンプルな良さを逆に発見したりもできるかもとか思っています。

    バンド拝見させていただきました。エディ・ジョブソンばりのキーボード・サウンド、カッコいいですね!

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  5. ホント、日本語と英語のイメージってスゴイ差がありますよね・・ プログレの場合って歌詞がイメージだったり哲学だったりするので歌詞を紐解く事でよりその曲を理解できる気がして、このページはとても参考になります!

    ビデオ、拝見頂きありがとうございます。
    そうです。自分はエディジョブソンが大好きなのです~!

    新ネタ、楽しみにしております!

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