2009年9月18日金曜日

「ザ・レイヴン」ロバート・ジョン・ゴッドフリィ

原題:The Raven / Robert John Godfrey

■「フォール・オブ・ハイペリオン
 Fall of Hyperion」収録







大鴉(オオガラス)

大鴉は大空に張り巡らされた飛行路を北へと向きを変える
吹き付ける雨を抜けて旋回し回転し
獲物を探し出し殺す狩りをするために
かれの本能はが求めるのはそれだけ
まさしく気品高き一羽の鳥
その旋回や回転降下は音も無く行われ
身体の小さい獲物に爪をたて引き裂き
腹が満たされると、再び舞い上がり、向きを変える
日没の金色に輝く光の間をすり抜けていく

※ 大鴉は遠く北を目指して翼を広げる
 さらなる獲物を狩る本能の命じるままに
 そして決して休まることのない苦悩に満ちた
 一日を終えて身を休める場所を求める
 自分の巣を見つけようと飛び続ける
 (まるで木々を抜ける風のよう)
 それから巣作りを行うのだ

狩人の鋭い目:
大鴉が獲物:
鷹の羽ばたきは静まる:
矢が放たれる:
大鴉は回転しながら落ちる、落ちる、落ちる

大空の飛行路はばらばらに破壊された
狩られたものの運命 狩ったものの仕事
しかし弓を持つ者は誰一人として
大鴉を狩るべきではないのだ
なぜなら死肉は価値の低い蓄え
その弓を射たものは人として汚点を残す
大空の大自然の正義

コーラス

そうして男は大鴉の理性に気づくだろう
冬に増して寒い季節でさへ不満を抱かせることはできない
そうすべき定めにあったこの男
生き物を殺すため われわれ以上の誠実さを
与えられたこの男

コーラス

家路へそしてやがて来る陽の光を求めて
今でも大空遠くへと舞い上がる


The raven turns north on skyways chains
To wheel and spin through weathered rains,
To hunt to seek to kill his prey.
His instinct shows no other way.
There is seen no less a noble bird.
That wheels and spins down never heard.
To talon and tear at lesser prey
To fill, then climb, then turn away: ...
through floating fingers of the golden sunset

* The raven wings its way far northward
On a mission of instinct still hunting prey.
Seeks his home beyond the day
Of this his torment of never rest.
Onward on to find his nest.
(The wind through the trees)
Then feathers its way

The hunters keen eye:
The raven's the prey:
The hawkwinds are silenced:
The arrow is spent:
The Raven spins downward, downward downward.

The chains of the skyway are shattered asunder.
The fate of the hunted the work of the hunter.
Yet none with a bow
Should take the raven
For carrion is a less worthy savings.
The archer now as a man is marked
And natures justice of the air.

* Chorus

So her reason will see this man.
No a colder season than
Winters time can discontent
A man from the purpose he was meant.
Endowed with more integrity
Than to kill the creatures less than we.

* Chorus

Homeward and onward seeking the day
Still soaring skywards and away.

【メモ】
タイトルの「ハイペリオンの没落(The Fall of Hyperion)」はイギリスのロマン派の詩人ジョン・キーツ(John Keats : 1795-1821)の哲学的叙情詩のタイトルを、そして曲名「大鴉(The Raven)」はアメリカの作家エドガー・アラン・ポー(Edgar Allan Poe : 1809-49)の詩の同名のタイトルを思い出させる。全体的に極めて文学的イメージに溢れたアルバムだと言えよう。

作詞は全てボーカルのクリストファー・ルイス(Christopher Lewis)によるもの。

ロバード・ジョン・ゴッドフリィのピアノとメロトロンを中心とする多彩なキーボードワークと効果的な打楽器によるクラシカルさに、彼の書く文学的歌詞はとてもうまく解け合って、不思議な禁欲的で美的な世界を作り出している。

歌詞は大空を飛び回り、獲物を狩ることだけに生きる苦悩と自由に満ちた
大鴉という存在を中心に描く。食べること、生きることに追われながら、それでも大空を縦横無尽に飛び回る大鴉。そこには自然の摂理のままに生きるものへの憧れや畏怖が垣間見られるようだ。

しかし狩る側であった大鴉も人間によって狩られてしまう。狩人は狩る役割を誠実に果たした男。しかしそれは
大自然の正義の前では人としての汚点となる。

そこに悪意はない。ただ人並み以上の誠実さで仕事として狩りをした人間。獲物として狩られた大鴉。それが自由と苦悩を身にまといながら大空を飛び回っていた大鴉の定め。しかし人には犯してはならない自然の正義がある。

そして繰り返しに続く最終行、大鴉の魂は再び大空へ飛び立つ。

この歌詞には自由と苦悩を持ち合わせながら、人の届かない大空に生きるどこか超越的な存在の象徴として
大鴉が描かれていると言えるだろう。そかしそれは、人知を越えた存在でありながら、実はわれわれの憧れの対象ともなりうる理想的な存在なのかもしれない。

苦悩しながらも自由に自分の力を信じて生きる大鴉。だから最終行、再び大鴉の魂が舞い上がる時、そこに聴き手は感動を覚えるのではないだろうか。

ちなみに
エドガー・アラン・ポーの「大鴉(The Raven)」とは内容的な共通点はない。

 

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