2009年6月7日日曜日

「ファンダンゴス・イン・スペイス」カルメン

原題:Fandangos In Space / Carmen

■Fandangos In Space
(ファンダンゴス・イン・スペイス)収録

             
  
  
  
彼女は月と太陽を求めた
そして雲の上へと駆け上がれるようになりたいと

彼女を行かせてやろう!

星々の谷間に抱かれ
火星を掴もうと手を伸ばすことで
彼女は誇りを感じるだろう

宇宙でファンダンゴを踊り
レースの衣装を身にまとって
彼女のカスタネットは
風の吹くペースを定める
宙に漂うスペイン的神秘性
彼女の髪を飾るビロードのような深紅のバラ
目にもまぶしい電飾の博覧会が
空を照らし、彼女を高みへと導く

She wants the moon and the sun
And to be able to run

On top of a cloud

Let her go!


Caught in a valley of stars

Reaching to grab hold of Mars

Will make her feel proud


Dancing fandangos in space

And wearing a co
stume of lace
Her castanets setting the pace

To the wind as it blows


Spanish mystique in the air

A velvet red rose in her hair

A dazzling electrical fair

Lights the sky, lifts her high



【解説】
ライナーノートに歌詞が掲載されていないため、ネットで探したが、なかなか見つからず「The (Unofficial) Carmen Home Pageの「Fandangos In Space」にあったものを使用した。これもサイト制作者が、実際の音楽から聴き取ったものだということで、正確かどうか不安が若干があるとのことだが、貴重なデータとして採用させていただいた。

Carmen(カルメン)はアメリカで結成され、イギリスでデビューしたバンドである。本家スペインのバンド以上に、フラメンコ色を強調した熱く燃える独特の音世界を作り上げた。

「Fandangos In Space」は1973年に発売された、同名タイトルのセカンド・アルバム収録曲。情熱的なボーカル、キレのいいリズムギターとカスタネットが印象的なスリリングな曲だ。曲の最後に前曲の「Retirando」のリプライズがアカペラで入るところが、何回聴いても涙が出そうになるくらいに感動的。

fandangoは伝統的なフラメンコの形式の一つで、陽気で軽快な3拍子系の舞踏曲。カスタネットを持つ男女二人が踊る場合が多いが、ここでは神秘的な女性が一人踊る様子が目に浮かぶ。

一見SF的、荒唐無稽なイメージの詞に思えるが、フラメンコを踊りながら、そのリズムとカスタネットやパルマ(手拍子)などの情熱的な音の渦の中で、彼女が踊りを超越して神秘的なパワーを、見るものにもたらす瞬間を描いているように思える。

彼女の踊りには月と太陽をともに取込んでいくような神秘性があるのだ。だから「Let her go!」彼女の思うがままに、ともにその世界へ入っていこうと、彼女を見ているわれわれは、彼女を解き放つ。

フラメンコというスペイン的な雰囲気の中で、彼女は宇宙の中心のような存在として、そのパワーを発散させていく。

最終連の眩い世界の様子に、当時のサイケデリックな感覚も感じられるが、基本的には彼女の踊りが生み出す忘我の世界、現実を超越した世界の描写に思える。

そもそもフラメンコには、そうした忘我の境地へ達する音と踊りが織りなすパワーがある。従って、fandangoを踊る彼女が当時のサイケデリックな感覚や宇宙、神秘といったイメージとつながることに、違和感はない。

いや、違和感を感じさせないくらい、ロックのフォーマットでそのフラメンコの熱さをCarmenが表現しているからこそ、歌詞の彼女の超自然性に浸ることができるのだろう。

そして激しく盛上がった最後で、一瞬の静寂の後の「Retirando」のリプライズ。美しいハーモニー。そしてそのままなだれ込む最終曲「Reprise」の激しいリズム。見事な構成である。

名曲にして名盤。


  

2 件のコメント:

  1. 今手に入るでしょか

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  2. コメントありがとうございます。Amazonなどで探していただければ、今でも苦労せずに手に入りるようです。

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