原題:Sad Rain
■「Waking The Dead, Live In Japan 2005」 (ウェイキング・ザ・デッド~ライヴ・イン・ジャパン2005)収録
Sad Rain / 悲しみの雨
まばゆい朝焼けが今始まった
やってくるはずのなかった日が今ここにある
彼女は凍った海沿いに歩き続け
見えない星を数えようとしている
沖では遠くに響く黒い雨の音
雲間に優しく光る青白い月
太陽は地平線へと戻っていく
風がゆっくりと彼女の心を引き裂いていく
そしてわれらの時代がやって来たのだ、友よ
子供は泣き叫んでも、誰も世話をしようとしない
鳥たちの泣き声は消え去ってしまった
空は灰色に染まる、しかしひどく温かい
暗闇の中で一筋の光を求めて
汚いものから目をそらし続けて
明日という苦いワインを味わうんだ
わたしは終わりの無い道を歩み続ける
the neon dawn has just begun,
the day is here that wasn't meant to come
she's walking by the frozen sea
trying to count the stars that she can't see
a distant sound of black rain in the water
the pale moon shining soft through a cloud
the sun is turning black in the horizon
the wind is slowly tearing her apart
and so our time has come, my friend
the child who cries and no-one seems to care
the echoes of the birds are gone
the sky is painted grey, but it's so warm
searching for a light in the darkness,
trying to keep your eyes from the dirt
taste the bitter wine of tomorrow
i'm walking on a path that never ends
【解説】
この曲は湾岸戦争(1990年にイラクがクウェートへ侵攻したことに対し、国際連合が多国籍軍を派遣、1991年1月に大規模なイラク空爆を開始したことから始まった戦争)に対しての反戦の思いが込められた曲だと言われる。
Nicklas(ボーカル、ギター、メロトロン)が、Anekdoten結成以前に書いた曲であり、Anekdotenの曲としては最も古い部類に入る。日本版のデビューアルバム「Vomed(暗鬱)」にのみボーナストラックとして入っていたが、このライヴアルバムで、正式にお披露目となった曲だ。アルバムでもラストを飾り、メロトロンが大活躍する、非情に感動的な大曲である。Anekdotenの叙情的な面を取り出して凝縮させたような曲だ。
歌詞を見ると、湾岸戦争への抗議というメッセージよりも、戦争が始まったことへの悲しみがつまった曲である。第1連の「やってくるはずのなかった日」の「まばゆい朝焼け」とは、恐らく空爆のことではないか。空爆は夜間に行われ、夜の闇を行き交う砲弾や爆破の光は、まるでショーさながらの“美しさ”で、テレビ中継された。その後も、ミサイルが建物を直撃する映像などが流され、まるで映画かテレビゲームを見ているような錯覚を起こさせる戦争でもあった。
夜なのに眩い光と火の嵐で闇夜が焦がされることで、「彼女」は見えるはずの星が見えず、星を数えるという幼い遊びができない。本来あるべき優しく静かな夜をかき乱す嵐は、彼女の心を引き裂き苦しめる。「彼女」は戦争で被害を追った人々の象徴か、あるいは戦争が始まったことを悲しむ全ての人々の象徴だろうか。
第3連、「我々の時代がやって来たのだ、友よ」はおおいなる皮肉か。これが我々が作り出した世界なのか、これがわれわれが目指した世界なのか、と問うているかのようだ。
それでも第4連で「わたし」は、「一筋の光を求めて」「終わりの無い道を歩み続ける」と言う。「わたし」は辛い道が目の前に伸びているのを知っていても、希望を捨てない。しかし我々には、そうやってとにかく前へ進んでいくことしかできないのだ。「わたし」はこの愚かな人類に、それでも希望を持とうとしているのだ。
「湾岸戦争」と切り離して単独でこの歌詞を見ても、本来あるべき平和や自然が、われわれの愚かさ、罪深さから「われわれの時代がやって来た」ために破壊されてしまったことを憂い、それでも希望を持って前へ進むんだという思いが込められた内容だと言えるだろう。
曲は雄大なメロトロンの響きに始まり、ボーカルパートは静かに悲しみに浸るように歌われる。メロトロンの奏でるテーマがドラマチックだ。その後、メロトロンフルートソロ、メロトロンヴァイオリンソロを経てメロトロンストリングスの厚い波が押し寄せる。
この来日時は日本側で3台のメロトロンを用意してのライブだったので、サンプリングではないナマ・メロトロンの音の揺れやピッチベンドなども堪能できる。
感動必至の名曲である。
■「Waking The Dead, Live In Japan 2005」 (ウェイキング・ザ・デッド~ライヴ・イン・ジャパン2005)収録
Sad Rain / 悲しみの雨
まばゆい朝焼けが今始まった
やってくるはずのなかった日が今ここにある
彼女は凍った海沿いに歩き続け
見えない星を数えようとしている
沖では遠くに響く黒い雨の音
雲間に優しく光る青白い月
太陽は地平線へと戻っていく
風がゆっくりと彼女の心を引き裂いていく
そしてわれらの時代がやって来たのだ、友よ
子供は泣き叫んでも、誰も世話をしようとしない
鳥たちの泣き声は消え去ってしまった
空は灰色に染まる、しかしひどく温かい
暗闇の中で一筋の光を求めて
汚いものから目をそらし続けて
明日という苦いワインを味わうんだ
わたしは終わりの無い道を歩み続ける
the neon dawn has just begun,
the day is here that wasn't meant to come
she's walking by the frozen sea
trying to count the stars that she can't see
a distant sound of black rain in the water
the pale moon shining soft through a cloud
the sun is turning black in the horizon
the wind is slowly tearing her apart
and so our time has come, my friend
the child who cries and no-one seems to care
the echoes of the birds are gone
the sky is painted grey, but it's so warm
searching for a light in the darkness,
trying to keep your eyes from the dirt
taste the bitter wine of tomorrow
i'm walking on a path that never ends
【解説】
この曲は湾岸戦争(1990年にイラクがクウェートへ侵攻したことに対し、国際連合が多国籍軍を派遣、1991年1月に大規模なイラク空爆を開始したことから始まった戦争)に対しての反戦の思いが込められた曲だと言われる。
Nicklas(ボーカル、ギター、メロトロン)が、Anekdoten結成以前に書いた曲であり、Anekdotenの曲としては最も古い部類に入る。日本版のデビューアルバム「Vomed(暗鬱)」にのみボーナストラックとして入っていたが、このライヴアルバムで、正式にお披露目となった曲だ。アルバムでもラストを飾り、メロトロンが大活躍する、非情に感動的な大曲である。Anekdotenの叙情的な面を取り出して凝縮させたような曲だ。
歌詞を見ると、湾岸戦争への抗議というメッセージよりも、戦争が始まったことへの悲しみがつまった曲である。第1連の「やってくるはずのなかった日」の「まばゆい朝焼け」とは、恐らく空爆のことではないか。空爆は夜間に行われ、夜の闇を行き交う砲弾や爆破の光は、まるでショーさながらの“美しさ”で、テレビ中継された。その後も、ミサイルが建物を直撃する映像などが流され、まるで映画かテレビゲームを見ているような錯覚を起こさせる戦争でもあった。
夜なのに眩い光と火の嵐で闇夜が焦がされることで、「彼女」は見えるはずの星が見えず、星を数えるという幼い遊びができない。本来あるべき優しく静かな夜をかき乱す嵐は、彼女の心を引き裂き苦しめる。「彼女」は戦争で被害を追った人々の象徴か、あるいは戦争が始まったことを悲しむ全ての人々の象徴だろうか。
第3連、「我々の時代がやって来たのだ、友よ」はおおいなる皮肉か。これが我々が作り出した世界なのか、これがわれわれが目指した世界なのか、と問うているかのようだ。
それでも第4連で「わたし」は、「一筋の光を求めて」「終わりの無い道を歩み続ける」と言う。「わたし」は辛い道が目の前に伸びているのを知っていても、希望を捨てない。しかし我々には、そうやってとにかく前へ進んでいくことしかできないのだ。「わたし」はこの愚かな人類に、それでも希望を持とうとしているのだ。
「湾岸戦争」と切り離して単独でこの歌詞を見ても、本来あるべき平和や自然が、われわれの愚かさ、罪深さから「われわれの時代がやって来た」ために破壊されてしまったことを憂い、それでも希望を持って前へ進むんだという思いが込められた内容だと言えるだろう。
曲は雄大なメロトロンの響きに始まり、ボーカルパートは静かに悲しみに浸るように歌われる。メロトロンの奏でるテーマがドラマチックだ。その後、メロトロンフルートソロ、メロトロンヴァイオリンソロを経てメロトロンストリングスの厚い波が押し寄せる。
この来日時は日本側で3台のメロトロンを用意してのライブだったので、サンプリングではないナマ・メロトロンの音の揺れやピッチベンドなども堪能できる。
感動必至の名曲である。
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