原題:Time to Kill
■ 「U.K.」(U.K./「憂国の四士」)収録
タイム・トゥ・キル/時空の中に
またシーツを剥ぎ取るような氷のような寒さだ
戸口には狼
僕はここでのみじめな暮らしをもう一日
耐えることができるだろうか
目を閉じどこか別の場所を想像してみよう
遥かかなた
銀の砂と紺碧のカリブ海
孤独な休暇にうんざりしているんだ
ここから出て行くことなんて決してできないから
この独房へと
水が滴り落ちる音に耳を澄ます
怒り狂え
もしこの生き地獄を耐え抜けたなら
この極寒の刑務所に押し込められ
囚われの身は
僕から正気をも奪っていく
ただ時間があるだけ
どこにも行くことはできず
時をやり過ごすだけ
今いる場所にとどまり続けて
Rip the sheets off ice cold again
Wolf at the door
Can I stand
A dog's life here for one day more
Close my eyes imagine somewhere
So far away
Silver sand
And azure Caribbean Sea
Sick of Solitary holidays
Cause I never get away from here
I listen to the water drip down
into the cell
Bun Amok
If I survive this living hell
Holed up in this cold calaboose
CAPTIVITY
Even takes
My lucid thoughts away form me
TIME TO KILL
Going nowhere
KILLING TIME
Staying where there's ...
【メモ】
UKのデビュー作にして、オリジナル・メンバー唯一のスタジオ・アルバム「U.K.」(邦題は「U.K.」または「憂国の四士」)収録の曲「タイム・トゥ・キル(オリジナル邦題は「時空の中で)」である。
LPではB面トップを飾るスリリングなインストゥルメンタル・ナンバー「Alaska(アラスカ)」からそのままなだれ込む曲だ。したがって曲としては別々にタイトルが付けられているが、一続きの組曲のようなまとまったイメージがある。
そこで「Alaska」に続いてどのような内容の歌詞が歌われているのかが興味深いところ。タイトルの「Time to Kill」は「kill time(暇をつぶす、待ち時間を紛らわす)」という表現からきている。訳すとすれば「すべきことのない、ただつぶすだけの時間」という感じか。
歌詞は極寒の地で一人独房のような部屋に囚われている「僕」の嘆きである。それは「Alaska」というアメリカ北西部の州の名、あるいは地名から連想される極寒のイメージに、見事に重なっている。
ここでは「僕」は「孤独」であり「みじめな暮らし」をしており、それがあと一日でも絶え続けることができるかどうかというほどに、追い詰められたような状況にいる。第三連で使われている「holidays(休暇)」という言葉も、ここでは仕事や責務から解放された状態ではなく、するべきことのない状態を示したマイナスイメージを持った言葉だろう。
僕ができることはどこか遠くのカリブ海のような暖かな楽園を夢見ることか、あるいはこの苦しみに耐えぬいたあかつきには、「Run Amok(怒り狂う)」ことを自分に言い聞かせることしかない。
「hole up(押し込める)」された「CAPTIVITY(囚われの身)」であるということは、今の状況が本意ではないだけでなく、無理やりそうさせられていることを示しているが、それが誰の手によるものかは明らかにされない。
むしろここでは、自分を苦しめている敵を探したり原因を究明したり、あるいは状況を変えようとするのではなく、今の気も狂わんばかりの孤独な状況を、半ばあきらめたように受け入れ、耐えぬこうとしているかのようである。
まさにそれこそがこの曲の柱となるところではないかと思う。敵も原因も理由もない、まさに今自分が生きていて感じる孤独。極寒のアラスカで独房に入れられているかのような日々の苦しみ。永遠に続くかもしれない、ただやり過ごすだけの時間を前にした、成すすべのない無力感。その絶望と狂気にギリギリのところで踏みとどまっている「僕」。
主語(主部)を省略した短い言葉を重ね、「僕」が一人内省しているようなシンプルな詞は、内容に比べて力強い演奏によって、深刻さや極限状況的な切迫感が薄められ、むしろ淡々とした、生きていくことそのものの辛さというイメージに近づくような気がする。
ちなみに発売当時入手して、受験英語として「kill time」を知っていたわたしは、「『暇つぶし』ってことだよな。プログレっぽくない格好悪いタイトルだな。」と思った覚えがある。そんな、ちょっと恥ずかしい思い出も甦る曲である。
しかし時代は「Run Amok」を夢想することではなく実行することを求めていた。そしてパンクが支持され台頭する。
■ 「U.K.」(U.K./「憂国の四士」)収録
タイム・トゥ・キル/時空の中に
またシーツを剥ぎ取るような氷のような寒さだ
戸口には狼
僕はここでのみじめな暮らしをもう一日
耐えることができるだろうか
目を閉じどこか別の場所を想像してみよう
遥かかなた
銀の砂と紺碧のカリブ海
孤独な休暇にうんざりしているんだ
ここから出て行くことなんて決してできないから
この独房へと
水が滴り落ちる音に耳を澄ます
怒り狂え
もしこの生き地獄を耐え抜けたなら
この極寒の刑務所に押し込められ
囚われの身は
僕から正気をも奪っていく
ただ時間があるだけ
どこにも行くことはできず
時をやり過ごすだけ
今いる場所にとどまり続けて
Rip the sheets off ice cold again
Wolf at the door
Can I stand
A dog's life here for one day more
Close my eyes imagine somewhere
So far away
Silver sand
And azure Caribbean Sea
Sick of Solitary holidays
Cause I never get away from here
I listen to the water drip down
into the cell
Bun Amok
If I survive this living hell
Holed up in this cold calaboose
CAPTIVITY
Even takes
My lucid thoughts away form me
TIME TO KILL
Going nowhere
KILLING TIME
Staying where there's ...
【メモ】
UKのデビュー作にして、オリジナル・メンバー唯一のスタジオ・アルバム「U.K.」(邦題は「U.K.」または「憂国の四士」)収録の曲「タイム・トゥ・キル(オリジナル邦題は「時空の中で)」である。
LPではB面トップを飾るスリリングなインストゥルメンタル・ナンバー「Alaska(アラスカ)」からそのままなだれ込む曲だ。したがって曲としては別々にタイトルが付けられているが、一続きの組曲のようなまとまったイメージがある。
そこで「Alaska」に続いてどのような内容の歌詞が歌われているのかが興味深いところ。タイトルの「Time to Kill」は「kill time(暇をつぶす、待ち時間を紛らわす)」という表現からきている。訳すとすれば「すべきことのない、ただつぶすだけの時間」という感じか。
歌詞は極寒の地で一人独房のような部屋に囚われている「僕」の嘆きである。それは「Alaska」というアメリカ北西部の州の名、あるいは地名から連想される極寒のイメージに、見事に重なっている。
ここでは「僕」は「孤独」であり「みじめな暮らし」をしており、それがあと一日でも絶え続けることができるかどうかというほどに、追い詰められたような状況にいる。第三連で使われている「holidays(休暇)」という言葉も、ここでは仕事や責務から解放された状態ではなく、するべきことのない状態を示したマイナスイメージを持った言葉だろう。
僕ができることはどこか遠くのカリブ海のような暖かな楽園を夢見ることか、あるいはこの苦しみに耐えぬいたあかつきには、「Run Amok(怒り狂う)」ことを自分に言い聞かせることしかない。
「hole up(押し込める)」された「CAPTIVITY(囚われの身)」であるということは、今の状況が本意ではないだけでなく、無理やりそうさせられていることを示しているが、それが誰の手によるものかは明らかにされない。
むしろここでは、自分を苦しめている敵を探したり原因を究明したり、あるいは状況を変えようとするのではなく、今の気も狂わんばかりの孤独な状況を、半ばあきらめたように受け入れ、耐えぬこうとしているかのようである。
まさにそれこそがこの曲の柱となるところではないかと思う。敵も原因も理由もない、まさに今自分が生きていて感じる孤独。極寒のアラスカで独房に入れられているかのような日々の苦しみ。永遠に続くかもしれない、ただやり過ごすだけの時間を前にした、成すすべのない無力感。その絶望と狂気にギリギリのところで踏みとどまっている「僕」。
主語(主部)を省略した短い言葉を重ね、「僕」が一人内省しているようなシンプルな詞は、内容に比べて力強い演奏によって、深刻さや極限状況的な切迫感が薄められ、むしろ淡々とした、生きていくことそのものの辛さというイメージに近づくような気がする。
ちなみに発売当時入手して、受験英語として「kill time」を知っていたわたしは、「『暇つぶし』ってことだよな。プログレっぽくない格好悪いタイトルだな。」と思った覚えがある。そんな、ちょっと恥ずかしい思い出も甦る曲である。
しかし時代は「Run Amok」を夢想することではなく実行することを求めていた。そしてパンクが支持され台頭する。
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